『日本酒学』第6回 ー新潟大学ー
新潟大学で開講されている『日本酒学』の第6回です。
新潟大学の図書館にはこの様なブースが入り口に常設されています。
県内酒蔵の日本酒が置いてあります🍶
これ見ただけで嬉しい人は多いはず!
第5回の記事はこちらをご覧ください。
今回のテーマは
『日本酒の歴史』
講師の方は、酒類総合研究所の理事長である後藤奈美さんです。
目次
前回も、地域性ということで歴史に関するお話が多かったですが、 今回はしっかりとした歴史のお話です。
古代
日本酒の誕生に関するお話です。
日本酒の発祥や、どの時代からお酒がどの様に作られていたかは、書物を参考にするしかないため、お酒に関する記述があったものを遡っていきます。
みなさん知っての通り、縄文時代になり稲作が始まります。
神話のお話ですが、スサノオノミコトが「八塩折(やしおり)の酒」をヤマタノオロチに飲ませ、酔わせて退治したとの記録があったそうです。
魏志倭人伝を参考にすると、邪馬台国や卑弥呼といったキーワードと一緒に、お酒(どのようなお酒かは不明)を飲んでいたとの記載があるそうです。
古事記の記録に、お酒を「献上」したといった記載があり、また「酔う」といった記載もあり、この頃から飲まれていたことは、はっきり分かります。しかしながら、献上品としてのお酒であることが多く、庶民は飲めるものではありませんでした。
この時飲まれていたお酒は、朝鮮半島から伝わってきたものや、それ以外でも、米と麹から作った甘酒なようなものが多かったそう。イメージとして、今と違ってどろっとしているイメージのお酒です。
大隅国風土記に、口噛み酒に関する記述があります。唾液中の唾液アミラーゼと、野生の微生物で発酵してお酒になるそう。
「君の名は」にも出てきましたよね。すごい初期のお酒ですね。
干し飯が水に濡れてカビが生えたので、酒を造った。
という記述があるそうです。
この時代から、「カビが生える」→「酒を造ろう」という知識が浸透していたということが分かります。普通なら、 「カビが生える」→「捨てよう」ってなりますもんね。
また、このことから口噛み酒とカビ(麹)を使ったお酒が共存していることが分かります。
この時代から朝廷による酒造りが始まっていきます。
万葉集などの歌によくお酒に関する記述も出てきます。
僧坊酒(そうぼうしゅ)という寺院で作られる酒も出てきました。
南都諸白という、麹も掛け米も白米を使う醸造法がよく使われていました。
しかしながらまだ清酒は一部貴族のものです。
中世
鎌倉時代から商業が発展してきます。
酒は米と同等の価値のある商品として流通していきます。
酒の製造と販売ができる、「造り酒屋」という施設ができました。
この時代面白いのが、お酒を禁止したり制限したりとの発想が生まれてことかなと思います。
鎌倉幕府は酒の製造・売買を禁止しましたが、朝廷は酒屋を認めて「壺銭」を徴収しました。今でいう酒税ですね。
室町時代になると酒屋は増え、酒造業が急成長してきました。
僧坊酒の名声はさらに高まります。
元々貴族の飲み物だったので、やはり京都でしか広がっていませんでしたが、この頃になると京都以外にも酒屋は広がっていきます。
幕府は、米価の高騰を抑えるために酒造りを制限しました。制限しないと、庶民が米を食べることができなくなり、飢えてしまうからです。
酒造技術は日々進歩していき、この頃から「段仕込み」や「火入れ」により加熱殺菌が出来るようになりました。清酒の原型がほぼ出来上がりました。
寺院勢力が衰退するとともに、僧坊酒も衰退し、酒造りは各地の造り酒屋へと広がっていきます。
精米技術が未発達だったため、現在の清酒とは少し違ったものだったそう。
この頃からやっと庶民に「片白(掛け米のみが白米)」やにごり酒が残っていきます。
新潟県内最古の造り酒屋はこの頃(1550年頃)創業しました。
近世
今回近世としているのは、江戸時代から昭和時代までです。
江戸時代
各地で名醸地が発達していきます。
設備としてもだんだんと大きく整備されていきます。
この頃は、米年貢が幕府の財源であったため、豊作だと米価が下がり、幕府にとってはあまりよくありませんでした。
そこで、豊作だと酒造りを推奨し、豊作でないときは飢饉にならないために酒造りを抑えるといった、少々ずるい方法で米価を安定させていました。
1837年に山邑太左衛門が宮水を発見します。
酒質が良くなり、水と港に恵まれた灘が酒造りの中心になっていきます。
ここで面白い内容が!
関西(上方)から江戸への酒の輸送(下り物)が行われる様になり、ダメなお酒は送られません。ここから生まれた言葉が、「下らない酒」、「下らない話」。
「くだらない」ってここからうまれたんですね。
江戸時代はさすがに農業の生産性が上がり、武家社会を中心に飲酒が広がってきます。
とはいえ、飲酒はやっぱり特別なものだったそう。
町民は屋台で寿司や蕎麦を食べることはあってもお酒は飲まなかったようです。
この頃から幕府による酒造の統制が行われました。
- 1657年 酒株(酒造株)制度 免許制、酒税
- 1697年 酒株改め(売り上げの5割運上金)
- 1783年〜 天明の飢餓(三分の一造り令)
- 1802年 水害で米価高騰(十分の一役米)
- 1806年 豊作(勝手造り令)
- 1825年 酒造株なしの酒造り禁止
明治時代
1875年に酒株が廃止され、30000場が設立されます。そして酒税の強化が行われます。この当時、国税の3割が酒税でした。
また、醸造技術が科学的に解明されてきて、近代化されてきました。
日清戦争や日露戦争を経て、再現性のある技術をしっかりと作ろうと、酒類総合研究所の前身である国立醸造試験場が設立されます。
後期になり、銘柄のごまかしがなくなり、特別なときにだけとことん飲むようになります。(晩酌として楽しむ)
量り売りも、第二次世界大戦まで続きます。
大正・昭和時代(戦前)
アルコール蒸留技術が向上され、合成清酒が誕生します。
当然精米の技術や酒造技術は高くなってきます。
戦争が続き、米が足りなくなると共に、清酒も減ります。
そこで薄めて売っていました。これは「金魚酒」と呼ばれていました。金魚が泳げてしまうほど薄いという悪口が由来です。
そんなこともあり、1940年にアルコールの濃度の規格が誕生します。
同年、満州国で醪へのアルコール添加試験が行われ、1943年に国内でもアルコール添加が開始されます。
終戦が近づくにつれ、酒類も配給制になります。それに伴い、闇市も増えます。
現代
今回現代としているのは、戦後から平成にかけてです。
戦後、密造酒が横行します。
増醸法(三倍増造)が開始され、だんだんとお酒をしっかり作れる余裕も持て、酒類の配給制が廃止されました。
1950年になると朝鮮戦争による特殊景気によって、密造酒から脱却をすることが出来るようになりました。
造る量と販売力にギャップがあり、未納税取引が増えてきます。
大手清酒メーカーも機械化、ブランド化が進んでいき、地方は特定名称酒を用いた高品質化に進んでいきます。
仕事の変化に伴い日本酒の味が変わってくるのと同じように、飲酒にも変化が起きます。ビールやワイン焼酎などの消費が増えてきます。清酒の消費量は減り、低迷してきます。
また、飲酒が日常化となり、「ありがたみ」がなくなります。
さいごに
清酒の歴史を見てきましたが、今当たり前に飲んでいる日本酒の歴史をしっかりと見ることができ、良かったです。
今回は書ききれなかったものもあるので、是非ご自身でも調べてみると面白いと思います。
昔は日本酒の消費量が本当に多かったんですね。私はビールばっかり飲んでいるので、あまり想像がついていませんでした。
今後、清酒の多様化、輸出等の方面から、日本酒復興の道が切り開いていくことを楽しみにしています。
今回もお読みいただきありがとうございました。
第7回の記事はこちらです!
『日本酒学』第5回 ー新潟大学ー
新潟大学で開講されている『日本酒学』の第5回です。
(新潟の人は分かるかもしれませんが、背景は弥彦神社です⛩)
第4回の記事はこちらをご覧ください。
今回のテーマは
『日本酒の地域性』
講師の方は、先週に引き続き、新潟県醸造試験場の場長である金桶光起さんです。
今週、「全国新酒鑑評会」の結果が出ましたので、こちらも合わせてご覧ください!
目次
今回のお話は、大きく歴史に関するお話がほとんどでした。
私が気になったものを取り上げていきます。
地域性
最初に、『地域性』の結論から。
日本酒にとっての地域性とは
- 水
- 気象
- 原料米
- 人
- 副産物の利用
- 伝統食
が大まかに挙げられます。
水や気候、原料米に関してはこれまで読んでいただいた中でなんとなく皆さんにも分かると思います。
「人」は、昔は出稼ぎとして酒造りをしていたこともあり、地域性が表れていたりします。
「副産物の利用」と「伝統食」に関しては、酒造りを通して出てくるものをどのようにアレンジしていくかや、それを活かした料理等、違いが地域性として表れてきます。
酒造方法は全国ほとんど同じです。地域性が出てくるのは、これらの要因によっての味の変化といってもいいのではないでしょうか。
地域性というより、「酒屋万流」と言い表していました。
簡単に言うと、「蔵癖」ですね(笑)
そもそも、なぜ全国で造り方がほとんど変わらないのでしょうか?
この答えは、昔は税として多くの割合を占めていた酒税をしっかりと取らないといけないため、国としてもしっかりと教育をしてきたからです。
日本酒の歴史
日本酒の歴史も、様々な角度からみることができます。
器(弥生土器)や「魏志倭人伝」や「播磨国風土記」といった書物などから日本酒の歴史をみました。
人類は結構昔からお酒を好んで飲んでいたことが分かり、ちょっとほっこり。
この「播磨国風土記」に、麹カビを使った酒造りに関する最初の記述があるそうです。
個人的に、弥生時代の調理に蒸し器を使っていたところ、蒸した米に麹カビが生え、お酒になっていたというものが面白かったです。(推論話ですが)
たまたまお酒が生まれるという。こういった、なんでこれを人類は食べ始めたのだろという、最初を知るのちょっと興味あります(笑)
また、新潟における酒造りに関してですが、新潟の人は仕事がなくなると西の方に出稼ぎに行き、そこで技術学んできて、新潟で広げていたようです。
地形と名水
日本海側に合った米作りがあるように、日本海側に合った酒造りを新潟は生みだしてきました。新潟にも県の名水は62ヶ所あり、環境省の「名水百選」には6ヶ所選ばれています。
新潟県の酒造は89社ありますが、新潟県全土に広がっていて、名水が直接関係しているという訳ではなさそうです。
発酵させる温度・時間が水によって違うため、日本酒に特徴が出てきます。
そもそもの軟水と硬水の違いです。
軟水
- カルシウムやマグネシウムなど硬度成分が少ない
- 比較的長い時間かけて発酵
- 酸は少なめで、なめらかできめの細かい淡麗な風味
硬水
- 酵母の栄養源となるミネラル分が多い
- 比較的発酵時間が短い
- やや酸の多い辛口タイプ
新潟県や秋田県は軟水で、石川県や灘の宮水が硬水ですが、そもそも日本の水自体、海外から見るとほぼほぼ軟水といってもいいほどの差が、海外の硬水とあります。
そんな微妙な差の中で味が変わってくるの、面白いですよね!
日本酒造りは、全国的に機械化が進んでいるため年中を通して行うことが普通なのですが、新潟県は三期醸造しています。
気温の低い冬を中心に酒を造り、春から秋は米を作っています。お酒自体は、貯蔵熟成を経て年間を通して出荷されます。
だからこそ、新潟県は食べる米、酒造米共に出荷量が多いです。酒米生産地は全国2位です。
酒質の変遷
日本全体の変遷として、濃醇甘口➡︎淡麗辛口という傾向が見られます。
産業の変化や時代の変化によって、好まれる味が変わってきたことや、酒米の発展が影響として考えられます。
また、大量生産できるメーカーに負けじと、地方は高級酒にシフトしていった傾向も見られます。
新潟県の出荷量は全国3位(シェア8.1%)で、吟醸酒の国内シェアは1位だそうです。
また、酒のしおりによりますと、新潟県人は、清酒の消費量が日本1位です(笑)
さすがですね。
こんだけ、酒の国であるからこそ、「新潟酒の陣」で2日間で14万人もの集客ができるんですね。納得しました!
今年は行ってみたい。
さいごに
今回は地域性に関してみてきましたが、お酒の造り方も変わらず、本当に繊細なところで独自の風味・味わいを出していることが分かり、尚更職人の技ってすごいなぁと感動しました。
結論からすると、この銘柄は辛い、甘い、淡麗、濃醇といった味の違いは一概には分類することができず、同じ銘柄でも吟醸酒だったり本醸造酒だったりと特定名称酒の違いによっても味が変わってきます。
これは飲んで味わうしかないですね🍶(笑)
途中、歴史に関して人名もだして色々と紹介していただきましたが、今回は割愛させていただきます。
今回もお読みいただきありがとうございます!
みなさんもたくさんの地域の清酒を飲んで味わっていきましょう!
第6回の記事はこちらです。
『全国新酒鑑評会』新潟県の結果について
本日(2019年5月17日)に、「平成30酒造年度全国新酒鑑評会入賞酒」が発表されました。
これは、酒類総合研究所が毎年出しているもので、その年の評価の高い日本酒が分かります。開催概要としても以下の通り記載されております。
平成30酒造年度に製造された清酒を全国的に調査研究することにより、製造技術と酒質の現状及び動向を明らかにし、もって清酒の品質及び製造技術の向上に資するとともに、国民の清酒に対する認識を高めることを目的としています。
現在、全国規模で開催される唯一の清酒鑑評会であり、製造技術と品質の向上に果たす役割は極めて大きいものがあると考えています。
新潟大学で開講されている『日本酒学』の講師の方に、本日発表されるから楽しみにしてなと言われて、初めてこの賞の存在を知った程の未知でしたが、発表されたものを見てみると面白いですね!
今回の出品点数は857点でした。
審査結果
- 入賞酒:416点(成績が優秀と認められた出品酒)
- 金賞酒:237点(入賞酒のうち特に成績が優秀と認められた出品酒)
新潟県の受賞結果
新潟県における受賞結果を見てみます。
入賞32点、金賞15点
以下が、入賞と金賞(☆)のリストです。おめでとうございます!
- 「越乃景虎」諸橋酒造株式会社
- 「お福正宗」お福酒造株式会社
- 「柏露」柏露酒造株式会社
- 「想天坊」河忠酒造株式会社(☆)
- 「雪中梅」株式会社丸山酒造場(☆)
- 「妙高山」妙高酒造株式会社(☆)
- 「君の井」君の井酒造株式会社
- 「越の誉」原酒造株式会社(☆)
- 「長者盛」新潟銘醸株式会社
- 「松乃井」株式会社松乃井酒造場
- 「越路乃紅梅」頚城酒造株式会社(☆)
- 「久保田」朝日酒造株式会社 松籟蔵
- 「久保田」朝日酒造株式会社 朝日蔵(☆)
- 「髙千代」髙千代酒造株式会社(☆)
- 「八海山」八海醸造株式会社
- 「苗場山」苗場酒造株式会社(☆)
- 「越乃寒梅」石本酒造株式会社(☆)
- 「鶴の友」樋木酒造株式会社
- 「越路吹雪」高野酒造株式会社
- 「越乃八豊」株式会社越後酒造場(☆)
- 「越乃梅里 大吟醸」株式会社 DHC酒造
- 「真野鶴」尾畑酒造株式会社(☆)
- 「菊水」菊水酒造株式会社 二王子蔵
- 「王紋」市島酒造株式会社
- 「大洋盛」大洋酒造株式会社
- 「〆張鶴」宮尾酒造株式会社(☆)
- 「越乃雪椿」雪椿酒造株式会社(☆)
- 「萬寿鏡」株式会社マスカガミ
- 「越後桜」越後桜酒造株式会社(☆)
- 「白龍」白龍酒造株式会社
- 「麒麟山」麒麟山酒造株式会社(☆)
- 「伝衛門」株式会社越後伝衛門
全ての結果はこちらです。
全国で見てみても、入賞に関しては全国1位でした!✨
素晴らしい👏
受賞の多かった県を載せておきます。(1位:赤 2位:緑 3位:青)
- 宮城県(入賞:18点 金賞:13点)
- 秋田県(入賞:23点 金賞:18点)
- 山形県(入賞:21点 金賞:13点)
- 福島県(入賞:31点 金賞:22点)
- 新潟県(入賞:32点 金賞:15点)
- 長野県(入賞:26点 金賞:14点)
- 兵庫県(入賞:27点 金賞:16点)
- 広島県(入賞:18点 金賞:8点)
総合的に見るとお隣の福島県が高そう!
やっぱり東北地方や日本海側が美味しい日本酒多そう。
そしてやっぱり兵庫、広島は強いですね!!
新潟県の今後の日本酒の発展を期待しています!
以上、速報レポートでした。
『日本酒学』第4回 ー新潟大学ー
新潟大学で開講されている『日本酒学』の第4回です。
第3回の記事はこちらをご覧ください。
今回のテーマは
『日本酒とは② 〜製造方法の基礎〜』
講師の方は、新潟大学農学部の城斗志夫さんと、新潟県醸造試験場の場長である金桶光起さんです。
目次
まず初めに城さんから導入のお話がありました。
微生物について
食品の加工に使用される微生物として、乳酸菌やビフィズス菌、青カビ、白カビ、納豆菌などがあります。
日本酒では、酵母と麹菌が使われています。
酵母とは?
出芽あるいは分裂により増殖し、生活環の大部分を単細胞で過ごす真菌類の総称
アルコール発酵能が高いという特徴を持つものもいます。餌としてグルコースのような糖質を必要とし、酸素を少なくするとアルコール発酵を起こします。
エネルギーを作っているのですが、その副産物としてエタノールが出てきます。
麹菌とは?
特徴として、自らが増えていくためにデンプンやタンパク質などを分解する酵素を多量に作る力が強いです。
日本の伝統的発酵食品の製造によく利用され、「国菌」として認定されています。
麹菌の中には、アフラトキシンのような毒素を出す有害なものもいます。
ビール発酵やワイン発酵は1種類の微生物のみを利用します。
なぜ日本酒は2種類の微生物を必要とするのでしょうか?
また、日本酒の製造において、麹菌はどんな役割を果たしているのでしょうか。
そんなお話を解明していきましょう!
ということで、ここから金桶さんにバトンパスです。
醸造試験場について
日本で唯一清酒専門の研究機関です。
新潟県の日本酒の品質向上のために大正13年に設立されました。設立89周年。古いですね。
当時、県に設備を建てるだけのお金がなく、酒造組合が設備整備をし、新潟県に寄付したそうです。
当時は酒造りのエリートが集まってきて、日本全国の半分以上の蔵が、新潟から巣立った人が作っていたそうです。新潟ってすごいですね。
特徴として、試験場なのですが、酒蔵と同じように清酒を作って売ることができる本免許を持っています。
本免許持っている試験場は「広島」と「新潟」だけだそうです。広島行ったことがないので行ってみたいです。
やっていること
- 酒米の開発
- 新技術(新潟の気候風土にあった酒造り技術)の開発
- 人材教育
新潟の清酒の約7割ぐらいはここで誕生した越淡麗という酒米を使っています。
お酒そのものの開発もそうですが、酒を醸すステンレスやチタンの研究までも行っています。お酒周りの研究を色々しているんですね。
日本酒は機械で製造されるようになってきていますが、機械で測れないような香りや味を人間は感じ取れるため、人材教育も継続してやっています。味や香り周り、機械だとやっぱりまだ完全再現無理だなってのはなんだか分かります。
また、海外でしっかりとした品質のものをちゃんと売るために、産地判別技術の開発も行なっています。
酒の分類・清酒の定義
これは毎回聞いていたので、もうなんとなく染み込んできました。笑
いつもの内容でしたが、こちらがなかなか分かりやすかったです。
色々と細かく決まっているため、逆に自由度がないそう。
今回も、前回と同じようなキーとなる言葉が出てきました。もう大体マスターしてきましたね。笑
みなさんは説明できるようになりましたか?笑
時間があればしっかりまとめたの書こうと思います。
分からないものがあったら、詳しくは、第2回・第3回の記事に書いてあります。
今回新しく面白いなと思ったのは「醸造アルコール」と「吟醸づくり」です。
醸造アルコール
でんぷん物質や含糖質物を原料として発酵させて蒸留したアルコール
吟醸酒や本醸造酒に使用できる醸造アルコール重量は、白米の重量の10%以下です。
戦時中にお酒を2倍、3倍と薄めていたことがこの技術の進歩に繋がっているそうです。
現在は、技術が高くなっているからこそ、増量のために添加しているわけではなく、むしろ香りや味が良くなるため、添加しているそうです。
「醸造アルコール」と聞くと、なんだかアルコール度数を高めるためだけにただアルコールを追加しているのかな?と思っていましたが、全然違く、むしろ逆でしたね(笑)
吟醸づくり
吟味して醸造すること
なんだか定義が曖昧ですね(笑)
伝統的に、より良く精米した白米を低温でゆっくり発酵させ、粕の割合を高くして、特有の芳香(吟醸香)を有するように醸造すること
とありますが、簡単にいうと手間暇かけて作ったってことですね。多分(笑)
清酒の製造工程
「一麹、二もと、三造り」
日本酒造りにおける重要な工程を表した言葉です。
歴史としては室町時代に基礎が作られ、徳川時代末にはほぼ完成していました。
その後、明治時代に西洋科学の成果を取り入れて改良し、第二次世界大戦後に生化学、微生物学、化学工業の進歩で飛躍的に発展しました。
それでは細かく見ていきましょう!
第一工程[蒸米製造工程]
この工程では、「玄米」から「蒸米」を作ります。
まず、「玄米」を精米し「白米」を作ります。
摩擦熱で米の水分が抜かれると米が割れてしまいます。そのため、割れないようにゆっくりやります。
ここの良し悪しで味が変わってきます。
洗米が第二の精米工程です。この時米は手で潰せるぐらい、脆くなっています。
その後浸漬をします。この工程は、名前の通りお米に水を吸わせます。1%とか、0.5%単位でやるそうです。吸水率がここで決まります。
大吟醸は35%程の吸収率にするそうです。(この工程に3日ぐらいかかります)
吸収率は今後の工程に大きく影響してきます。
一晩水切をし、翌朝それを蒸します。最後に温度を調整すると「蒸米」の完成です。
精米歩合を低くすると、タンパク質や脂質が減ってくるため、お酒の味が一般的に良くなると言われています。
米が脆いため、機械でやると粉になって流れてしまうため、手作業でやります。
第二工程[麹製造工程]
この工程では、「蒸米」から「麹」を作ります。
簡単に言うと、食べられるようにカビさせる工程です。
麹室と呼ばれる温度湿度を管理できる部屋に入れて、蒸米に麹種を入れカビさせます。この工程には40〜50時間かかります。
種麹を売るような会社も昔はあったそうです。
出来上がった麹を麹室から出して冷却して乾燥させることを出麹といいます。最高品質は42度付近で、12時間程度経過したのちに出麹します。このタイミングも蔵によって違うそうです。
αアミラーゼとグルコアミラーゼがないとブドウ糖ができないため、アルコール発酵ができません。だからこそ、この2つをすごく大切にしていたそうです。
この工程が終わると、日本酒特有の風味が形成されます。
麹の種類
麹にも種類があります。
第三工程[酒母製造工程]
この工程は、酵母の培養工程です。
麹 + 水 + 純粋酵母 + 醸造用乳酸 からなる水麹を仕込んで育成し、酒母を作ります。
酵母の役割
醪を醗酵させるための酵母を培養したもの
酵母(酛ともいう)
糖を醗酵してアルコールを作る
清酒製造は開放醗酵のため、醪の健全性、優良な品質を保つためには酵母の役割が非常に重要になってきます。
この工程で、phを下げて(雑菌の繁殖を防ぐ)「麹」からαアミラーゼとかを水の中に出していきます。育成には、14日間ほどかかり、酵母を何億という数に増やしていきます。
清酒醸造に使用される酵母にはたくさん種類があり、現在使われている有名な酵母は、各々の蔵が発祥となり、自然に作り出した酵母を集めて、増殖させて、全国に配り始めたものが使われています。
清酒の香りと酵母
第四工程[もろみ製造工程]
この工程では、4日間かけて「もろみ」を作ります。
もろみは三段仕込みになっています。
今まで作ってきた 水 + 麹 + 酒母 + 蒸米 を段々と仕込んでいき、「熟成もろみ」を作ります。
- 初添(1日目)全体の1/6を仕込みます
- 踊(2日目)休み
- 仲添(3日目)全体の2/6を仕込みます
- 留添(4日目)残りの3/6を仕込みます
1度に仕込むとダメなんです。
そして最後にもろみ管理をしながら「醸造アルコール」を醗酵させているところに入れると、「熟成もろみ」が完成します。
清酒酵母はエタノールなどのストレスに強いのではないのかと仮定されましたが、実際には実験室酵母より弱いそうです。
もろみ仮定を続けていくと、実験室酵母は防衛本能で、途中からアルコールを出さなくなります。しかし、清酒酵母は限界まで出し続けるため、エタノール生成能が高いです。
第五工程[市販酒製造工程]
この工程では、市販されるお酒を作ります。
この図のような工程です。
上槽でしぼり、おり引きで沈殿させ、それをろ過することで「新酒」が出来上がります。
新酒を、65℃〜70℃程で火入れを行い「原酒」が出来上がります。
原酒は20℃ぐらいで、飲んでみるとピリピリするそうです。
原酒を、白い沈殿を出さないようにおり下げを行い、様々な工程を得て「市販種」が出来上がります。
また、「生酒」好きだなーって思っていたのですが、違いを理解していませんでした。
この図でスーパーとかで市販されている普通の日本酒と他の色々な呼ばれ方をしている日本酒の違いが分かります。
生酒は消費期限近いですがマジでうまいんですよね。。😋
新潟の酒米
新潟の酒米についてです。
五百万石
1982年に「菊水」と「新200号」の交配で完成しました。
味としては、水のような淡麗辛口になるような酒米でした。
越淡麗
新潟だけのお米で大吟醸を作りたいという思いから、1989年に「山田錦」と「五百万石」を交配させ、完成しました。
特徴として、高精白にしても割れにくく、高度な吸水性があるため良い蒸米に仕上げることができます。
そもそも、私たちが食べているお米と酒米の違いについてです。
- 粒が大きい
- 心白がある
この2つが特徴です。
さいごに
今回は一番面白い、「作り方」をしっかりと知ることができました。
今も昔も、作り方は変わらないんですね。酒造見学尚更行きたくなってきました。
だんだんと日本酒に関して詳しくなれている気がします。
今回も読んでいただきありがとうございます!
次回もお楽しみに!
第5回の記事はこちらです。
『日本酒学』第3回 ー新潟大学ー
新潟大学で開講されている『日本酒学』の第3回です。
第2回の記事はこちらをご覧ください。
この記事で、ありのままを書きすぎたところ著作権の公衆送信権に関して少し怒られまして、、(苦笑
僕の中で噛み砕いた内容を書いていきたいと思います!(噛み砕くもなにもない気もしますが、、)
今回のテーマは
『日本酒と税金』
目次
国税庁に関して
日本酒と税は深く関連していて、今回はそのお話です。
まず、そもそもの国税庁という組織に関してのお話がありました。
任務と使命
こちらのページにも書いてありますが、適切で公平な税の徴収を実現するための組織です。
税収構造の推移
税収の構成に関するお話がありました。
グラフは載せていないのですが、明治30年に1億円だった税収は、平成30年には638,003億円になっています。
また、税収における酒税の割合が面白く、明治30年に30.8%だった割合は、平成30年に2.1%になっています。少なくなってはいますが、収入は多くなっています。(当たり前ですが、、笑)
昔は酒税が本当に大きい意味を成していたんですね。酒税が国を支えていたんですね。
平成30年の酒税は13,110億円で、内訳はビールが最も多く、清酒(日本酒)は602億円です。
酒税は景気の影響を受けにくいため、国にとっても安定収入になります。
酒税の歴史に関してのお話もありました。室町時代に足利義満が壺単位で税を取っていたことが発端だそうです。
江戸時代から免許がないと作れないようになり、酒造株制度として税を取っていたようです。
明治時代から近代的な税が誕生し、醸造税がうまれました。
密造酒の取り締まりに関するお話として宮沢賢治も小説を書いています。
酒税の課税数量の推移としては、清酒は、平成元年に1,353億円(全体の15.4%)だったものが、平成29年には525億円(全体の6%)となっています。
平成に入ってからは酒税自体の収入額は徐々に減ってきていますが、清酒に関しては特に下がってきちゃっています。免許の数も2494場だったものが1755場と、700〜800場も減っています。
日本産の酒類は年々輸出額は増加していて、清酒の輸出も8年連続上がってきています。
輸出先ランキングは
- アメリカ
- 香港
- 中国
となっています。
全国の1割が新潟からの輸出で、新潟県内の7割の酒造が輸出をしています。
酒税の概要
そもそもなぜ酒から税金を取るかの根拠
- 生活のための必需品ではないから
- 医療費や、世間に迷惑をかけないため
- 消費量が多く、収入に関係ないから
- 景気の影響を受けにくいから
酒税の特色
- 製造・販売業に関する免許制度
- 酒の種類によって税率が違う
- 罰則規定が厳格(けっこう厳しい)
免許制度を取っているのは、お酒は高い税金をかけているため、税への転嫁を容易にする目的があります。また、検査をしっかりするためでもあります。
高いお酒買える人は高い収入だろって感じで税金も決まっているそうです。(噛み砕きすぎたかも。笑)
酒類の定義・分類
定義
- アルコール分1度以上の飲料
粉末状で水を加えるとアルコールになるものも含まれるそうです。摂氏15度において測るそうです。
分類
- 発泡性酒類:1、ビール、2、発泡酒
- 醸造酒類:3、清酒、4、果実酒、5、その他の醸造酒
- 蒸留酒類:6、連続式蒸留焼酎、7、単式蒸留焼酎、8、ウイスキー、9、ブランデー、10、原料用アルコール、11、スピリッツ
- 混成酒類:12、合成清酒、13、みりん、14、甘味果実酒、15リキュール、16粉末酒、17、雑酒
品目においてグレーゾーンというものは全くなく、非常に厳格です。各品目における、原料、製造方法に関する概要も決まっています。
清酒の定義
前回と同じお話ですね。
原料と製法によって厳格に決まっています。
昔あった三増酒っていうもの(僕は知らない)はもうなくなっているそうです。
製造免許に関して
- 人的要件 過去に犯罪歴や税金の未納がないかどうか。
- 場所的要件 検査取り締まり上、製造場と販売場が合わさっていないかどうかなどの要件。
- 経営基礎要件 その会社が潰れないかどうか。
- 需要調整要件 需要が少ないと許可が出にくい。
- 技術・設備要件 設備がしっかりしているか。酒造り経験をしっかりしてきたかどうか。
需要によっても許可が出にくいっていうのはなかなか面白い要件だなと思いました。
とりあえず申請で許可が出るものではないというのは分かりました。
酒の種類のよっても税率は変わります。
ビール本当に高いんですね(笑)。あまり実感していませんでした。(販売額の約4割ぐらい税金)清酒は2割ぐらいですね。
税収の未来はこんな感じだそうです。(税収改正)
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2017/explanation/pdf/p0919-0950.pdf
ラベルに関する表示
- 特定名称(吟醸、純米、本醸造等)
- 品目(清酒or日本酒)
- 原料米の品種
- 製造者の名称及び製造場所在地
- アルコール分
- 原材料名(水は書かない)
- 精米歩合(特定名称酒の場合のみ)
- 内容量
- 製造時期
- 未成年者飲酒防止の注意
こんな感じでラベル表示も決まっています。裏ラベルも面白いそうなので見てみるといいですね。飲みやすさ等の評価が書いてあります。
そこで出てくるのが日本酒度という概念。清酒の比重を示していて、甘口辛口を決めています。
こちらを参考に。
最後に「お酒の地理的表示(GI)」に関してのお話がありました。
お酒のブランドを決める表示です。新潟はまだないので、こういうところをきっちりしておくのもいいのではないかと思いました。
さいごに
税が関係してくるため、お酒は全てが厳格に決まっているんだなと感じました。
昔の日本を支えていたのは酒っていうところがあまり実感ないですが、日本酒と税は切っても話せないんですね。
第4回の記事はこちらです。
『日本酒学』第2回 ー新潟大学ー
新潟大学で開講されている世界初の学問『日本酒学』の第2回です。
第1回の記事はこちらをご覧ください。
今回のテーマは
『日本酒とは① ~米から醸される世界の酒~ 』
講師の方は、新潟県酒造組合、副会長の平田大さんです。
目次
基礎知識
前半は日本酒に関する基礎知識のお話です。
基礎知識といえど、化学のお話が主なもので、僕にはちょっと難しかったです。笑
前半の講義をまとめると、
- だからこそ、日本酒にとって水が超重要。
こんな感じです。(笑)
水の大切さ
水の性質に関して
- 水分子は部分的に電荷を持つ
- 水分子は多様な物質を溶解出来る
- 部分的に電解することによって、水同士も相互作用
- 特異な相変換
日本酒は水商売と呼ばれていたそうです。(本当かな?w)
酒屋は良質な水を求めに行っていました。
理由としても、日本酒の80%は水で出来ているからです。
名水の基準
- ph中性
- 臭気-
- 硬度<50ppm
- 細菌群-
- 天然水・地下水
- 有機物消費<1.5
- Fe<0.02
- Cl-<50
アメリカ硬度(CaCo3, mg/L)=ドイツ硬度(CaO, mg/100mL)×17.8
世界保健機関WHOの基準では軟水や硬水に関しては図のように定義されていて、新潟は他の日本の地域と比べると軟水に近いそうです。
硬度が高いと発酵が強くなり、また変わった味になるとか。
水にあった酒造りが、色々な地域で行われているため、多様性が生まれてきています。
雪の重要性
- 空気の浄化作用
- 低温
- 保温
空気が綺麗なのが重要。案外、温度を下げるのが難しいとのこと、また、発酵は温度変化を嫌うそうです。
香味に関与する物質
味覚は以下のように分類されるそうです。
醸造微生物(糸状菌/酵母)
糸状菌(カビ)
日本酒には麹菌が使われます。
麹菌は酵素を生産します。
酵母には何種類かあります。
発酵することで、エタノールが生成されます。
前半の基礎知識終了です。
僕にとっては全然基礎ではなかったですw
世界の酒(比較論)
全くお酒に関する知識を持たずにいつもバカみたいに飲んでいたので、作り方の学びは本当に面白かったです!
うんちく語れそうです(笑)
出てくる図なのですが、スライドを参考に自分で作りました。(結構時間かかってしまった。。)間違っていたら教えてください🙏
酒の定義
そもそもお酒って何でしょうか?
提議としては
酒類の分類
清酒の定義
世界の分布はこんな感じだそうです。(これも作った。笑)
清酒の製造方法
ポイントなのは、「並行複発酵」なところです。
デンプンを糖に変える「糖化」と、等をエタノールに変える「アルコール発酵」が同時に行われます。
下の図が同時に行われるんですね。
アルコール度数が高くなるという特徴があります。
これに関しては、こちらが分かりやすかったので。
ビールの製造方法
ビールは清酒と違い、単行複発酵(単行糖化発酵)です。
そのため、アルコール度数はそこまで上がりません。
ビールの酵母は2種類あります
- 下面発酵酵母
- 上面発酵酵母
英国(エール・スタウト)など
気泡吸着性 → 発酵中に泡に付着して浮く
ビール好きなので、知れて良かったです!
ワインの製造方法
ロゼワインが一番衝撃的でした。笑
知らなかった、、
蒸留酒の製造方法
それぞれのお酒の歴史も駆け足で教えていただきました。
すごい、パワポで作った感満載の図ですみません(笑)
さいごに
今回は、基礎知識と言えど、日本酒に関しては全くの無知で、化学に関しても詳しくなかったので、なかなか面白く聞くことができました。
この基礎知識だけで結構収穫大きかったです。(化学に関しては難しくて完全に理解していませんが、、汗)
「日本酒といえば新潟」と世界から認知されるような学問にしたいという想い、いいですよねー。
海外の人に「Niigata」って言ってもだいたい通じませんからね。日本に1年ぐらい住んでた人に聞いても分からないって結構悲しいですよね。
来週も楽しくInputして、Outputしていきます!
お読みいただきありがとうございました🙇♂️
第3回の記事はこちらです。
世界初の学問『日本酒学』を受講?します! -新潟大学ー
新潟大学で世界初の試みとなる「日本酒学(Sakeology)」が昨年度から開校されました。
日本酒には可能性があって面白いなと最近やっと気づきました。笑
せっかく酒の国 “新潟” にいるのでしっかり勉強しようと思い受講しようとしました。
しかしながら、、大学院生はそもそも受講できないとのこと。。
席が空いていれば聞いていいよと言われたので、こっそり受講していきたいと思います!(単位はもちろん出ません。。)
目次
日本酒学とは
2018年の4月に新潟大学で、世界で初めて作られた学問です。
様々な分野の人が交わることができる学問、こんなに楽しそうな学問他にはないですよね。
多角的な視点が入った学問にしたいという想いもあるそうです。
しっかり学んでいきたいと思います。
新潟大学ではターム制(1年で4ターム)を導入しているため、2タームにかけて講義が行われます。講義の具体的概要は以下の通りです。
日本酒学A-1
- 日本酒学の成り立ち(新潟大学「日本酒学」と新潟清酒業界の取り組み) 高橋均(新潟大学・理事)、大平俊治(新潟県酒造組合・会長)
- 日本酒とは① ~米から醸される世界の酒~ 平田大(新潟県酒造組合・副会長)、鈴木一史(新潟大学農学部・准教授)
- 日本酒のマナー 渡辺英雄(新潟大学法学部・助手)
- 日本酒とは② ~製造方法の基礎~ 金桶光起(新潟県醸造試験場・場長)、城斗志夫(新潟大学農学部・教授)
- 日本酒の地域性 金桶光起(新潟県醸造試験場・場長)
- 日本酒の歴史 後藤奈美(酒類総合研究所・理事長)
- 日本酒と料亭・花街の文化 岡崎篤行(新潟大学工学部・教授)
- 期末試験
日本酒学A-2
- 日本酒と食~フードペアリング、官能と科学~ 伏木亨(龍谷大学・教授)
- 日本酒の経済学・経営学 伊藤亮司(新潟大学農学部・助教)、岸保行(新潟大学経済学部・准教授)
- アルコールと脳 武井延之(新潟大学脳研究所・准教授)
- 日本酒のマナー 渡辺英雄(新潟大学法学部・助手)
- 日本の酒類のグローバル化~日本酒とビール・ウイスキーとの比較~ 都留康(一橋大学・教授)
- 日本酒と健康 伊豆英恵(酒類総合研究所・主任研究員)
- 日本酒を世界へ伝える方法 Andrew WHITAKER(新潟大学農学部・准教授)、田中洋介(今代司酒造(株)社長)
- 期末試験
コンテンツ内容が本当に面白そう!!
楽しみです!!!
参考文献はこちらだそうです。
早速ポチりました。
新潟の酒をまず知らないと!
講義
今日は、初回の講義です。
講義は、センター長の挨拶に始まり、新潟県酒造組合の会長さんのお話、そして講義のガイダンスが行われました。
日本酒学開講にあたり
センター長の高橋均さんからお話をいただきました。
そもそも、日本酒学センターとはなんぞやというところは、こちらをご覧ください。
このセンター設立の経緯、その想いを述べられていました。
その中でも日本酒には様々な角度からの楽しさがあるというところを本当に楽しそうに述べていて、聞いていて僕もわくわくしてきました。
新潟の酒の注目度は集客を見れば分かります。
「にいがた酒の陣」では、2日で14万人もの集客をしています。
日本酒学は世界で初めての学問なのですが、世界ではすでにワイン学というものがあったり、日本だと、鹿児島大学が「焼酎・発酵学教育研究センター」というセンターで焼酎に関しての学びが出来たりします。
日本酒学に関連する学問としては、
- 醸造学(Zymurgy)
- 発酵学(Fermentology)
が挙げられます。
新潟大学は国際交流として、フランスのボルドー大学と連携しました。
他のお酒からも学びを得ようとしています。
私はフランスに行ったことはないのですが、高橋さん曰く、新潟とボルドーはどこを見渡しても田んぼ(ぶどう畑)という点で似ているそう。笑
それなのにボルドーではブドウ農園の見学からワイナリー見学等、日本より地域的にうまく活かせていると思います。
そればかりか、ボルドーより新潟の方が日本酒の製造に関しては手間暇かけてるそうです。
やっぱりストーリーでモノの価値を高める必要ありますね。
「気候は運べない」というキーワードも面白かったです。
私は新潟に来て6年目ですけど、新潟のことが本当に好きになっています。
6年でも好きになれる土地ですね!
新潟来た時は、快晴がほとんどないところ嫌いだったけど、最近曇り空も好きになってきてる。
— むろちゃん (@Balius1064) 2019年4月10日
この講義、今年で2年目だったのですが、昨年と同様800人以上の応募があり、2年目にしても注目の様子が伺えます。定員が300人なので、倍率は2.5倍ぐらいですね。
新潟における日本酒の現状
新潟県酒造組合の会長である、緑川酒造の大平俊治会長からお言葉をいただきました。
新潟における日本酒の現状を説明していただきました。
- 新潟県のシェア(国内出荷量)は第3位(8.1%)
- 海外輸出は好調
- 高品質清酒出荷量第1位
- 酒造メーカー数第1位
- 日本唯一「日本酒」単独の県立機関(醸造試験場)
- 日本唯一酒造組合立教育機関(新潟清酒学校)
新潟は、高級なモノ売るようになってきているそうです。それが売上総数の増加に繋がってきています。
日本酒の世界では、“新潟”が環境面でどう考えてもナンバーワンだそうです。
「日本酒ってかっこ悪いものなの?」
大平さん自身も、罰ゲームで飲ませられた経験もあるそうで、ビールやワイン、ウイスキーと比べて劣っているもの?なのと問いていました。
海外の人は日本酒をすごいリスペクトしてくれるそうです。
自国の酒なので愛していかないとダメですね!飲みましょう!!
「夢のある仕事だ」
日本酒は、世界的にもすごいお酒で、最も複雑な工程を得て作られているお酒だそうです。
世界から見たら危ない酵母と麹菌を操って美味しいものを作るという、芸術性や作る楽しさがあるそうです。
だからこそ世界からリスペクトされているんですね。
また、当たり前のようですが、日本酒は日本だけのものです。
ビールとかワインはどこでも作れるため、他の酒とは絶対に違うオリジナルなものです。
他の県とも、新潟県は違うそうです。
- 米は五百万石を開発
- 水は軟水で飲水。(普通は硬水だそう)
- 技術の伝承
- 醸造試験場の活用
- 技術屋の集合体の育成
- 高品質化へ移行
具体的にこんなところが挙げられるそう。
「日本酒学を1年やってどう変化が起きたか」
- 世界の目が変わる(大学に関してニュースが増える)
- 他大学との連携が増える(ボルドー大、その他)
- 先生の交流が増える
- 地方創生の時代にかなっている
- 成功させると大学の雰囲気が変わってくる
- 無限の可能性が皆を待っている
このお話、なかなか楽しかったです。
この分野、海外からの反応がすごいあるそうです。海外を見てから日本酒学を学ぶと、さらに面白くなり、可能性も分かると思います。そして、海外の学生とも交流しないといけませんね!
「新潟大学が世界と渡り合う世界を見たい」
これめっちゃやりたい。成し遂げたい。新潟を世界へ。
日本酒は輸出が多くなっています。8年連続で上昇。今から爆発するのは間違いありません。
今まで外にあんまり出ていなかった日本酒が外に出て行った際に、壁にぶち当たります。
ワインだと、ワイン学、歴史や文化、学びが既にあるので、大きな後ろ盾となっています。
日本酒には歴史はあるものの、こういった文化や学びは作れていません。ここをしっかりやるための日本酒学です。また、学びだけじゃなくて文化も作っていかないといけませんね。
ここさえやっちゃえば、ビジネスチャンスはめっちゃあり、世界でも戦えます。
海外行ってみて初めてわかった自分たちの価値。
当たり前のものを外から見ると、実は価値があるということは多いです。灯台下暗しですね。
これは地方創生でも同じ。
チャンスは広げていかないと。
一気にいかないといけませんね。
学んだ後のアクションを考えていきたいです。
ガイダンス
これからの授業の進め方と、履修に関する説明も。
やはり、抽選で落ちた人の中にはどうしても受けたいとの旨を伝えている学生も多い模様。ここに関しては思う節は後で書きます。
自分も、単位はいらないし、ただ日本酒に関してインプットしようと思っていたのですが、、
日本酒学Bという楽しそうな集中講義の履修には、日本酒学A-1、日本酒学A-2の履修が必要だそう。。
日本酒学B
- きき酒基礎編 官能検査法ときき酒の理論
- きき酒基礎編 におい、アルコール、日本酒度、甘味、酸度の識別
- きき酒応用編 マッチングによる香味特性の記憶と識別
- 日本酒からの地域活性化 ~農業から酒蔵ツーリズム~
- 県内酒蔵での実習
- ディスカッション
- 日本酒のマナー
講師:金桶光起(新潟県醸造試験場・場長)、佐藤圭吾(新潟県醸造試験場・専門研究員)、栗林喬(新潟県醸造試験場・主任研究員)、近藤伸一(新潟県酒造組合・副会長)、平島 健(新潟県酒造組合・副会長)、他
実際に学んだことを、外に出てでさらに考えを深めるような講義です。これ本当に受けたい。。
感想
今日は導入だけだったのですが、それでも日本酒の可能性、新潟の可能性を改めて感じれて、これから学べることも楽しみです!
しかしながら、、
多角的な視点が入った学問にしたいと言いつつ、学部生のレベルでの多角性でいいのかなと少し疑問に思いました。
世界で渡り合うためには、院生も受講できて、色々と考えれた方がいいのではないかと思いました。
ここから、新しいイノベーションが生まれるかもしれません。
そもそも制度で院生って教養科目取れなんですかね、、?同じ大学の学生なのに。。
同じ授業料支払っている身なので変えていただきたいですね。
そして、そもそも世界で戦う学問・大学を目指すなら、受講段階で抽選じゃなくて選抜するべき。
800人の応募といえど、楽な単位と思われて集まってるという可能性もあります。本当に興味のある学生をいかに受講させて、世界に羽ばたかせていくかが重要だと思います。
僕は新潟大学、そして日本酒学の可能性を感じたからこそ本気で願っています。
もっと世界見て、日本から発信していき、世界と戦いたいですよね。
新潟大学の人!!誰よりも学ぶ意思は高いと思っています!!
よろしくお願いします!!
次回からも講義楽しみにしています!
第2回の記事はこちらです。