『日本酒学』第11回 ー新潟大学ー
新潟大学で開講されている『日本酒学』の第11回です。
第10回の記事はこちらをご覧ください。
今回のテーマは
『日本酒のマナー』
講師の方は、新潟大学経済学部の渡辺英雄さんです。
そして、実践編の講師として新潟青陵大学の村山和恵さんがいらっしゃってくれました。
目次
飲酒におけるマナーと法
マナーとは
態度。礼儀。礼儀作法。
- 道徳的・世俗的なルールで、守った方がいい美徳。
- 人間関係や社会生活を円滑にする行儀様式
- 強制力や権利関係義務はない
知らないと恥をかく
酒造見学のマナー
- 香水や整髪料など臭いの強いものをつけない
- 朝食に納豆を食べない
酒造見学まだ行けていません。。汗
この時期新潟だと酒造りしている酒造はあんまりないんですよ。
法とは
- 国家によって定められ、権利と義務の関係にある。
- 守らなければ強制力が働き、強制できるのは国家権力だけ
法をしらなかったでは許されられないもの。
マナーが法となる時
契機
- 特定の社会の歴史的・文化的背景等によって「守られるべきルール」が変化
- 個人の尊厳・自由、社会の秩序を守る目的
手段
- 国民の代表で構成される国会で作られる
- 国民の合意によって定められる
飲酒に関する法
- 道路交通法
- 酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止に関する法律
- 未成年者飲酒禁止法
- 刑法(第218条、第219条)
未成年者飲酒禁止法では、飲んだ人は罰せられません。お酒を売った人が罰せられます。
日本酒のマナー〈実践編〉
ここから村山さんにバトンパスです。
酒席でのふるまいに関してです。
ちゃんとした席でのふるまいって結構気にしますが、難しかったり知らなかったりすること多いですよね。
ふるまいとはそもそもマナーを守るっていうことですよね。
マナーの根底にあるのは相手を思いやる気持ちです。
これは、場の空気を乱さなかったり、相手に不快な思いをさせない必要があります。
盃の干し方
一露や一文字と言われるように、少し残すのが良いらしいです。
一文字とは、盃の底に文字が書けるぐらい少しお酒を残すってことです。
飲み干して、すごい飲みたいみたいに思われるのは良くないということらしいです。(なかなか実践できなそう、、笑。飲み干しちゃう。笑)
お酌の仕方
相手の器のお酒が無くなるちょっと前に目下の人から目上の人へ、徳利を右手で持ち、左手を添えて注ぎます。
注ぐ時はラベルが上になるようにします。何のお酒を示す意味もありますが、垂れてしまったお酒でラベルを汚さないためという意味もあるそうです。
リズム的には「ソビ・バビ・ソビ」です漢字では鼠尾馬尾鼠尾と書きます。
お酌を受ける
器を両手で持ち、お礼の言葉をひと言添えて飲みます。また、飲まない場合でも口をつけてから盃を置きます。
NGとなるふるまい
- 逆手注ぎ
- 置き注ぎ
- なみなみ注ぐ
- のぞき徳利
- 振り徳利
- あわせ徳利
- 倒し徳利
一時ちょっと話題になっていた、注ぎ口がある徳利はどこから注ぐのが正解?という話題は結論から言うとどこからでも良いというのが正しいそう。
こういったマナーは見せびらかすもの良くないです。
場数を踏んで、その場の状況に合わせてふるまっていくのが良いですね。
おわりに
正直今回の講義は知ってる内容がほとんどで、内容が薄くあまり面白くなかったです。
確かに大切なことなので覚えて実践していきます💪
最後までお読みいただきありがとうございました!
『日本酒学』第10回 ー新潟大学ー
新潟大学で開講されている『日本酒学』の第10回です。
第9回の記事はこちらをご覧ください。
今回のテーマは
『アルコールと脳』
講師の方は、新潟大学脳研究所の准教授である武井延之さんです。
目次
「酔っ払う」のはどうして?
作用点は確実に脳にあるけど、メカニズムは理解されてないそうです。
人類は大昔(一説には紀元前から?)からお酒を飲んでいます。
そもそもお酒は、最古の向精神薬であり、最も作用の穏やかな向精神薬です。
情報を伝えたり、回路を作っている神経細胞をニューロンと呼び、シナプス伝達をします。(細胞の中を電気信号が流れる)
神経伝達には神経伝達物質によって興奮性と抑制性があります。
- プラス(興奮)の入力が優位 → 情報を伝達
- マイナス(抑制)の入力が優位 → 情報の伝達なし
GABA
中枢神経系で最も主要な抑制性神経伝達物質
抑制を伝える伝達物質で、アルコールを感知すると抑制されます。
抑制性を抑制するため、抑制がなくなるということです。(笑気状態)
グルタミン酸
脳内で最も主要な興奮性神経伝達物質
受容体機能がアルコールによって抑制されます。
飲み過ぎると神経の作用がシャットダウン → 記憶なくなる。気絶
こういう流れで酔っ払います。🍶
酔いの段階
爽快期
血中濃度0.02~0.04%(ビール中瓶1本、日本酒1合程度)
気分爽やか。陽気で活発な態度。
大脳新皮質が少し麻痺してきます。
ほろ酔期
血中濃度0.05~0.1%(ビール中瓶1〜2本、日本酒1〜2合程度)
ほろ酔い。身振りが大きくなる。抑制が低下する。体温脈拍上昇。
大脳新皮質が麻痺してきます。
初期酩酊期
血中濃度0.11~0.15%(ビール中瓶3本、日本酒3合程度)
気が大きくなり、大声で話したりします。勘定の起伏が激しくなり、立てばふらつく。
大脳新皮質が麻痺してきます。
酩酊期
血中濃度0.16~0.3%(ビール中瓶4〜6本、日本酒4〜6合程度)
千鳥足になる。同じことを何度も話したり、吐き気をもよおしたりします。
大脳辺縁系や小脳までにも作用が及び、麻痺してきます。
泥酔期
血中濃度0.31~0.4%(ビール中瓶7〜10本、日本酒7合〜1升程度)
海馬が麻痺するため、短期記憶がなくなります。
昏睡期
血中濃度0.41%以上(ビール中瓶10本以上、)
急性アルコール中毒状態。揺り動かしても起きない。返事をしない、失禁。
脳幹までもが麻痺してしまいます。
救急車を呼ぶかどうかの判断なのですが、「返事がないときは救急車を呼ぶ」これを覚えておくといいかもしれません。
体重の1/13が血液量なので、体重から血液量を計算し、飲んだ分で血中濃度を大体測れます。
これも、目安としてなんとなーく分かる程度で、飲むペースや体調などによって結構変わってきます。
すごい。このページで血中濃度測れます。笑
上の計算せずに飲み会中に使ってみると現状が分かっていいかも。
お酒の怖いところは、作用が穏やかなのに、効き始めからたった4倍ぐらいの血中濃度の差で致死量になるところです。
ほどほどに嗜むのが重要です。
こちらに、イラスト付きでわかりやすくまとまっているので参考にしてください!
なぜお酒(アルコール)を飲みたくなるのか?
「脳が飲みたがる」
脳には報酬系(ドーパミン神経回路)という神経回路があります。
アルコールはドーパミン報酬系を刺激するため、「アルコール = 報酬」という記憶が甦らされ、飲みたくなります。
アルコール依存症とは?
依存性薬物の特徴
- 食事や水等の「報酬」と異なり、満足しない
- 記憶が消去されにくい。つまり、報酬がこなくなってもあきらめずに求め続ける。
- アルコールは依存性の向精神薬物
- アルコール(エタノール)を求めているので、味とかどうでもよくなる
蒸留酒を日常的に飲んでいると危ないそうです。日本酒大量に飲んでいてもそこまでなりにくいです。そして、アルコールの薬理効果(寝れないから飲むとか、忘れたいから飲むとか)を期待した飲み方は危ないです。
「お酒は味、場の雰囲気を楽しむもの」
中核的な症状
中核的な症状のほか健康問題、社会問題を引き起こす。
アル中に関しては、この漫画面白いらしいです。
お酒に強い/弱いとは?
アルコールの代謝、分解が影響しています。
アルコール脱水素酵素(ADH)でアセトアルデヒドに肝臓で分解されます。
その後、アルデヒド脱水素酵素(ALDH)で酢酸に分解されます。
その後、炭酸ガス、水となり、このときに熱エネルギーが放出されます。
これがアルコールの分解の様子です。
人間にとって、このアセトアルデヒドが毒です。
このページわかりやすい!
上記の分解酵素とは別に、ミクロソームエタノール酸化系という分解酵素があります。
アルコールの慢性摂取によって発現誘導されます。
これが、「飲めば強くなる」と言われている要因ですね。本当にあったんだ。知らなかった。
しかしながら、ラジカルを生成するため、より毒性が強いのです。
分解できる分体内に毒を増やすという。
この2種類の酵素のSNP(スニップ)の違いによって強いとか弱いとかが出てきます。
ADH1B(His47Arg)は、100倍ほど酵素活性に差があるそうです。日本人はアルコールを早く分解する人が多いです。(90%以上)
活性が高いほど「酔っ払わない」のです。
ALDH2(Glu487Ls)にもよります。
日本人の半分ぐらいがこっちの活性が少ないです。だから毒を体内に貯めちゃうので、顔が赤くなったりして、二日酔いになったりします。
活性が高いほど気分が悪くなりにくく、二日酔いになりにくいのです。
データから、東北南九州にお酒が強い人が多というのはやっぱりあるそうです。しかし、日本人は進化として、お酒に弱くなるように進化しているそうです。
稲作のおかげで日本酒が近くなったから、あえて弱いようにしていったと予想されています。酒飲んじゃうと働けなくなっちゃうからね。笑
脳や健康への影響
お酒はなんだかんだ言って毒です。お酒というよりアルデヒドが毒なのです。どんなに少なくても毒なので、脳が未発達の時には特に細胞に影響が出てしまいます。だからこそ、飲酒は20を超えてからなのですね。
また、長期間大量に飲酒していると、脳が萎縮してしまいます。
逆に。お酒が良いという説もあります。よくJカーブと呼ばれるやつですね。ちょっと飲んだ方が死亡率下がったり、ガンになりにくいとか言われたりしますよね。
少量を毎日飲むと言っても、1日缶ビール1缶とかの少量の話です。
また、お酒は生物学的には毒でも社会的には良いかもしれません。
というのも、コミュニケーションが取りやすくなったり、「ちょっと飲んだ方が英語上手くなる」といった思いを持つ人は多いですしね。
特にシャイな日本人は軽くお酒飲んだ方がいっぱい喋れるのではないでしょうか?(笑)
抑制外れているのが原因であるとは思いますが、爽快期に限ったことです。飲み過ぎ注意!⚠️
飲酒の十特(「百家説林」柳沢淇園)
- 礼を正し
- 労をいとい
- 憂を忘れ
- 鬱をひらき
- 気をめぐらし
- 病を避け
- 毒を消し
- 人と親しみ
- 縁を結ぶ
- 人寿を延ぶ
さいごに
お酒は程々に、楽しく飲む事が一番いいですね。(当たり前)
「お酒は飲んでも飲まれるな!」
これ肝に命じておきます。
これからも楽しく飲んでいきます💪
第11回の記事はこちらです!
『日本酒学』第9回 ー新潟大学ー
新潟大学で開講されている『日本酒学』の第9回です。
みなさんお久しぶりです!
更新が遅くなりすみません。
第8回の記事はこちらをご覧ください。
今回のテーマは
『日本酒の経済学・経営学 〜日本酒の海外展開と日本酒の高付加価値化への挑戦〜』
講師の方は、新潟大学経済学部の准教授である岸保行さんです。
目次
本当に申し訳ないのですが今回本業である研究が忙しすぎて、講義を聴きに行くことが出来ませんでした、、😭🙏
今回はレジュメを見て自分なりに書いていきます。内容薄くなってしまいすみません。
それにしてもドンピシャで面白そうな講義。。悔しい。
海外との関わり
データ
まず、日本酒の輸出に関してです。
SAKETIMESさんの記事を参考にさせていただいていますが、日本酒の輸出はここ10年間で量・金ともに増加しています。
国別に見るとアメリカが1番多く、次いでアジア圏(香港・中国・韓国・台湾)が多いです。ここまでで約75%をも占めています。
フランスやイタリアといったヨーロッパは、文化が厚いためなかなか異文化が入りにくいそうです。
次に、海外における日本食レストランの数についてです。
農林水産省のHPに2017年のデータが載っていました。今こんな感じらしいです。
思ったより多いですね。
日本食レストランがあるということは、日本酒が提供されてると考えていいと思います。韓国では、安い日本酒を出しているそうです。
海外の日本酒市場の特徴として、
- ハイエンド :日本から輸出される高級日本酒(特定名称酒)
- ボリュームゾーン :日本から輸出されるパック酒・ナショナルブランドが現地で生産する特定名称酒
- ローエンド :ナショナルブランドが現地で生産する普通酒
こんな感じで、日本から輸出されるうまい酒はなかなか出回ってなさそうですね。
海外展開のために
海外で日本酒を売るためのアイデアは色々と実践しているようです。いくつか紹介していきます。
塩川酒造さんは、食べ合わせを意識したラベルにしています。この記事が分かり易かったです🙂
近藤酒造さんの「MIROKU」は、ワインボトルに日本酒を充填しています。
また、食事とのマッチングを意識した商品開発も進んでおり、今代司酒造さんの牡蠣のための日本酒や苗場酒造さんのカレーに合う日本酒など、面白い日本酒も出てきています。
さらに、ワイン酵母を使用した日本酒や、ビンテージを意識した日本酒など、多種多様な方面へチャレンジしている様子が見れます。
ワインとの比較
ワイン発祥の国であるフランスには、ソムリエというワインに関する高度な知識をもつ国家資格を持った人が多くいますが、日本では日本酒に関しては、レストランの日本酒担当者やバイヤーが日本酒と食事の組み合わせを学習している段階です。
価格設定のスタイル
日本酒の価格設定は原価積み上げ方式(小売り希望価格方式)であるプロダクト・アウトの発想ですが、ワインでは市場価値方式であるマーケット・インの発想で価格を設定しています。
やっぱり日本酒は本当に安いですよね。
あんなに手間暇かけて造っているのでもっと高くてもいいと思います。
「価値」づくり
今後日本酒の「価値」をつくっていくためにも、それぞれの段階で価値づくりをする必要があります。
「原料」での価値づくり
農業モデルから工業モデルへの移行で価値を生んでいく。
「造り」での価値づくり
伝統製法に回帰することで、価値を生んでいく。
「製品」での価値づくり
組み合わせが価値を生む。
- 日本酒×アウトドア
- 日本酒×女性
- 日本酒×錦鯉 等
「流通・販売」での価値づくり
ただ造った酒を卸すのではなく、酒造見学と掛け合わせたり、製造におけるストーリーを売っていく必要があります。
日本酒が世界で消費されるようになると、様々な革新が生まれてきます。そこで、コトとモノが組み合わさって日本酒の価値は高められると思います。
さいごに
やっぱり、ストーリーでモノを売っていくのは本当に大切ですね。
今回本当に薄っぺらくなってしまった。。
申し訳ない、、🙏
授業ちゃんと聞きにいけばもっと詳しく面白いお話聞けただろうと思うと悔しいですね😭
研究の傍気分転換で行けるぐらいゆとりほしい。笑
色々頑張ります…💪
第10回の記事はこちらです!!
24歳を迎えました。
気づいたら24歳になってしまいました!
わーい!
最近すごい毎日充実してて楽しいです。頑張れている気がします。
これまで
この写真にあるような経験をしてきました!
SecHack365とFULLERでのアルバイトは自分の中でもとてもいい経験ができたかなと思っています。
幸運なことに海外への派遣も何度か行かせてもらい、いい経験が出来、今に活きています。
就活?
正直、就活という就活をちゃんとしてはいませんでしたが、
- ヤフー
- サイバーエージェント
- DMM.com
- ドワンゴ
から内定をいただくことができ、本当に悩んだのですがヤフーに行くことにしました。
ここら辺も詳しく書くことが出来たら書きます💪
来年度からは一応東京に行くことになるのかな?
現在とこれから
今何をしているのかというと、大学院で毎日研究しながら、起業に向けた準備をしています。
7月に起業します。
やっと思い描いていた世界を作っていく覚悟を持つことができました。
毎日睡眠以外の時間突っ走ってます💪(睡眠を削ることはしていません。笑)
来年はヤフーで働きながら自分の会社を動かしていくことになるのかな?
忙しさは今とあんまり変わらなそう(笑)
世の中には、「ゴールピープル」と「リバーピープル」という2種類の人間がいるそうです。
「ゴールピープル」とは、登る山を決めて、目標を持って駆け抜けていく人間。
「リバーピープル」とは、目の前のやるべきことに対して全力で駆け抜けていく人間。
僕はリバーピープル気質らしい。目標がないわけではないですが、登る山を完全に決めているわけではないと思っています。
小さい支流もやがて大河となって町に辿り着きます。今は小さくても目の前のやるべきことをしっかりこなしていき、大河になります。
少しでも応援していただける方は、よろしくお願いします!🙇♂️
『日本酒学』第8回 ー新潟大学ー
新潟大学で開講されている『日本酒学』の第8回です。
本日から、新潟大学では第2タームに入り、一応授業名も日本酒学A-2となっています。
第7回の記事はこちらをご覧ください。
今回のテーマは
『日本酒と食 ~フードペアリングの官能と科学~ 』
お話がとても面白く、ユーモアいっぱいで楽しく聞けました。ありがとうございました🙇♂️
目次
フードペアリング
そもそもフードペアリングとは、その名前の通り料理とお酒をどう合わせるかといったお話です。
近年、インバウンド(日本への海外からの旅行者)が多くなってきています。そのため、日本酒の人気も上がり、料亭等では半分ぐらいが外国人ということもよくあるそうです。
観光だけでなくても、日本 × 海外 と お酒 × 料理の様々な組み合わせがあるが考えられます。食文化が多様になったおかげでもあります。
それぞれの食や酒には伝統や文化はありますが、その中で色々な組み合わせが出来るようになってきて、どのように味わい、嗜むのかが大切になってきました。
今後更に国際化が進む上で、重要になってくるテーマではないでしょうか。
今回は、こんな感じでメリハリ無く語っていく感じになりそう。。
読みにくかったらすみませんm(._.)m
様々なお酒や料理が出てくると、「酒が変わるべきか料理が変わるべきか」といった話が出てきますが、どっちらも変わる必要はないと思います。
マリアージュ
ペアリングをワイン用語で言うとマリアージュです。
なんだか聞いたことありますね。
どのように料理とワインを合わせるかといった知識が必要になってきます。
そうです。
ワインの場合、料理にお酒をピンポイントで合わせていきます。
だからこそ、ワインに対する多種多様な知識が必要で、ソムリエという職業がうまれました。
それに比べ、日本酒はどんな料理にも合います。
「合う」
- 個性的な料理に対し、個性的なワインが、お互いの良さを引き出し、新たな美味しさを作り出す。
- 料理のくせをいったんワインが引き受けて、ワインの柔らかい香りを引き出す。
- 触りを一旦なくす。
- ガチガチにぶつけて、さらに高みを目指す。
こんなところでしょうか。
日本酒の「合う」。これを言語化していきます。
- どんな料理にも合い、料理をいささかも邪魔することなくその余韻を上品に消していく感じ。
この一言でもう分かると思います。ペアリングの発想がワインと全く違います。
講師の方は、結婚観とも似ていると言ってました(笑)
詳細はご想像にお任せします(笑)
ペアリング作法の違い
作法の違いは、酒の香気成分の多彩さに起因します。
これはワインにはできない得意技で、下記のような日本料理のコンセプトに合致します。
- 素材を活かす料理
- ダシの旨味による穏やかな調和
- 強い酸味や甘味には負ける
- 生の魚介類の風味が豊か
日本では、「生」の格式が高く。日本人は素材をできれば「生」で食べたいと思っています。
海外での料理と日本料理の違いとして、「ダシから素材を探す」というものが挙げられます。
普通は素材が先にあり、その素材に合う味を選んでいくという流れが普通ですよね。日本人は逆の発想ですね。
日本食は、ダシは同じだけど、素材で味が変わってくるという料理が多いです。
そういう料理を活かすのが日本酒です。
海外でも日本酒が飲まれることが多くなってきています。輸出量も毎年増加していますしね。しかしながら日本酒がどうしてもワンポイントで使われてしまっています。
日本酒のマリアージュの作法そのものを輸出すべきですね。ピンポイントの代替で持っていく方ではないですね。
ワインの代替ではなく、日本酒のマリアージュの世界を発信する必要があります。
実際に、フランス料理と日本酒はめちゃめちゃ合うそうです。
むしろ、前菜はシャンパンより日本酒の方が合うそうです。キャビアに合わせるためにわざと発泡性のシャンパンで合わせていますが、ちょっと無理矢理感があるそう。(両方そんなに食べたり飲んだりしたことないから分からない。笑)
しかしながら、前菜で日本酒を使いたいが、日本酒が安すぎて出せないそうです。
「0をもう一つ増やしてくれ」とよく言われるそうです。
日本酒安すぎ問題はよく挙がってきますね。
鍵となる匂い
ペアリングの鍵は匂いにあります。
舌にあるレセプター
- 甘味 1種
- うま味 1種
- 塩味 1種
- 苦味 25種〜
- 酸味 1種
このように人間の舌にはレセプターが苦味以外、基本1種類しかありません。
それに比べて匂いは396種類のレセプターがあります。そのため、味の解像度が高いです。
味覚より嗅覚の方が味を感じるに当たって大切です。
味だと思っているのは、実は口から鼻に抜ける気体で、私たちは基本それを味わっています。
器官的には2種類あります。
- オルトネーザル 揮発性の匂いを感じる。外の匂い。
- レトロネーザル 食べ物の匂いに特化している。
鼻の中でも、後ろ側についているレトロネーザルで味を感じています。
「味の記憶は匂いの記憶」これ覚えておいてください。笑
本場の味、おふくろの味とかも全部実は匂いの記憶なんです。
鼻をつまんでチョコレートを食べて、途中で手を離すと一気に甘くなるみたいです。今度やってみます。
そして難しいのは、味は5種類しかないので簡単に言葉にできますが、匂いの記憶は言葉にできないというという点です。
だからこそ、ソムリエは無理やり言葉を作っています。「馬小屋の匂い」「昼間の猫の匂い」など、意味の分からない様な言葉で想像させるそうです。笑
確かになんとなく想像し易くはなった気がします。笑
日本酒やワインに含まれる匂いの存在量は味よりも全然少ないです。
だからこそ、香料会社でも人の嗅覚で測っているそうです。
香料会社の方は、匂いを分解をする癖がついちゃっているそうです(笑)
匂いはA + B が AB にならずに全く違う C になってしまいます。だからこそ難しいです。
匂い成分は、8個ぐらいのレセプターの組み合わせで感じます。違う匂いを、同じレセプターで共有しちゃっている匂いもあるからこそ、取り合いや弾き合いが起こります。
魚の刺身で考えると、魚の生臭さと、日本酒の香気成分を同じレセプターで感受させることによって生臭さを軽減することができます。
世代による変化
世代によってペアリングが変わっていのではないかという考えがあります。
20、30代の人はワインでも日本酒でも30代以上の人と「味わい」が変わっています。
おいしさを細分化すると
- 生理的
- やみつき(報酬効果)
- 食文化
- 情報
に分けることができます。
若い人は「情報」によっても変わってくることがあるそうです。
また、日本酒の味覚のキーワードが「甘口」になってきている。昔は「淡麗辛口」でした。
この様なことから、初めて若い世代が主体的に飲み始めたということが言えるのではないのでしょうか。
昔と飲み方も変わっています。だからこそ。昔の尺度では測れなくなっています。
次の時代のお酒の飲み方を若い世代が提案していかないといけません。
このタイミングは、日本酒が日本におけるお酒のメインのお酒に返り咲きするチャンスなのかもしれません。
これから、お酒の新しい時代の幕開けかもしれませんね。
さいごに
今回は食と酒に関する内容でした。
なかなか面白かったです。
具体的に◯◯と日本酒が合うみたいなものを聞けると思っていましたが、日本酒はなんでも合うんですね。具体例など一つも出てこなかったです。笑
匂いのお話は知らなかったので勉強になりました!
淡麗辛口や甘口で合う料理は流石に違うので、自分にあった料理と日本酒の組み合わせを探していきたいなと思いました。
こんなに日本酒に関するブログを書いていますが、執筆初めの頃は正直日本酒が苦手でした。
色々な種類を飲むにつれて、好んで飲めるようになりました✨やったー🍶
楽しみが一つ増えたとさ。😎
今回もお読みいただきありがとうございます。
次回もお楽しみください!
第9回の記事はこちらです!
『日本酒学』第7回 ー新潟大学ー
新潟大学で開講されている『日本酒学』の第7回です。
第6回の記事はこちらをご覧ください。
今回のテーマは
『日本酒と料亭・花街の文化』
講師の方は、新潟大学工学部建築学科の教授である岡崎篤行さんです。
目次
日本酒、和食、料亭
料亭は、日本酒にとってとても大切な存在です。
みなさんご存知の通り、お座敷という、料亭に芸者を呼ぶ文化があります。
そもそもなぜ料亭が日本酒にとって大切なのでしょうか?
ワインといえばフレンチレストランで飲むのが一番正式な場所であるように、日本酒を飲むのに、一番正式な場所が料亭なのです。
今の時代だからこそ居酒屋や飲食店で普通に飲むようになっていますが、感覚的にはなんとなく分かると思います。
料亭で会席料理を食べながら日本酒を飲むのが正式な飲み方なんです。
この後のお話で、料亭、花街、日本酒が繋がってきます。
- 料亭 = 芸者さんを呼ぶ場所
- 料亭 = 日本酒を飲む場所
この概念しっかり持っておくべきですね。
料亭
そもそも正式に飲むとはなんでしょう?
料亭では、テーブルは漆塗りであるところが多いため、お皿は引っ張っちゃダメで持ち上げるものでした。
杯洗という、水が入っている四角い箱の様なものであったり、袴というとっくりの入れ物もありました。これも、テーブルが高価なものだったので、なるべく直接置かないためにこういったものを用意していました。
ここらへんは 料亭での、日本食を食べる際のマナーの知識が必要となってくると思います。
しかしながら、こういった料亭マナーに関する物でさえ、お客さん側が使い方を知らないため、最近では料亭ですら出てきません。
日本人は洋食のテーブルマナーは学びますが、日本食のテーブルマナーの方は全然学びません。
むしろこっちをしっかり学んだ方がいいですよね。日本の伝統としても大切なことだと思います。
和食
和食とは、日本人の伝統的な食文化のことで、2013年にユネスコ無形文化遺産に登録されました。
- 多様で新鮮な食材
- 栄養バランス
- 自然や季節の表現
- 年中行事との関わり
この様な要素が入っています。
会席料理
料亭で食べる料理のことで、本膳料理に次ぐ、正当な日本料理の形式です。
一汁三菜(お吸い物・刺身・焼き物・煮物)を基本としていて、お通し(八寸)、揚げ物、蒸し物、和え物、酢の物などの酒肴が加わります。(コース料理)
最後は飯、味噌汁、香の物、水菓子(果物)などが出てくることが多いです。
私たちの生活で、毎日3食しっかり和食を食べている人はほとんどいないのではないでしょうか。いかに私たち日本人が日本文化を分からなくなってしまっているのかを自覚しないといけないですね。
そもそも、和食が文化財になっているということは、当たり前じゃなくなってしまった証拠でもあります。
日本人も日本文化を学ばないといけないですね。滅ぼそうとは思ってないけど、自然と滅んでいってしまっているのが現状なので、努力して残していかないといけないです。
今、日本文化をしっかりと残すことができるのは、芸者さんだけだそうです。
料亭
主に日本料理を出す高級飲食店、料理屋のことで、宴会、企業の接待、慶事、法事等に使われることが多いです。大広間と個室があり、日本庭園があったりするのが特徴です。
新潟だと、古町に「鍋茶屋」という料亭があるそうです。今度行ってみたいですね。やはり値段が高いイメージを持ってしまっていますが。
みなさん行ったことありますか?地方だと結構行く文化や風潮が残っていることが多いそうです。
料亭は、芸妓を呼べる場所でもあり、昔は多様な機能を持っていて、他にこういった場所がなかったため、色々なものが料亭に集まっていました。
例えば、現代のレストラン、ホテル(宴会場)、結婚式場、会議室、教室、カラオケ、スナックとかです。
花街・芸妓とは何か
花街
「かがい」と読みます。(私は「まなまち」って呼んでいたので一応書いておきます。笑)
昔の広義の意味では、遊郭、遊女屋、芸者屋が集まっている地域といった意味ですが、最近では芸者を呼べる料亭や茶屋が集まる都市の一画という意味で使われることが多いです。
温泉街は花街とは言わないそうです。
料亭と茶屋
花街は、「茶屋街」もしくは「料亭街」を指しています。
料亭とは、板前を抱え、自前の料理を提供しているお店のことで、茶屋は板前を持たず料理は仕出しをし、通常大広間はなく個室のみの場合が多いです。
料亭は現在でも全国にありますが、茶屋は、金沢や京都などのみに残っています。
芸妓とは何か
職能としては、「おもてなし」と「芸能」です。
◯◯芸とは、舞踊や唄、和楽器、茶道、俳句などのことを指しています。
特に日本舞踊が根幹で、年に1度、芸者衆総出演の日本舞踊公演をやっていることが多いです。これを、「◯◯をどり」と言います。全国的にやっているところは多いですが、毎年しっかり開催できているのは福岡と新潟と金沢だけだそうです。
新潟には、「ふるまち新潟をどり」があり、今年も9月8日に行われます。私も行ってみようかな。
ここで、芸妓(げいぎ)の呼称に関して書いておきます。
「芸妓」とは芸者のことで、「舞妓」とは出たての若い芸妓のことで、賃金が半分ぐらいだったことからも、半玉とも呼ばれていたそうです。
- 地方(じかた)
伴奏(唄、三味線)をする人のこと
- 立方(たちかた)
踊り手
日本で芸妓を生業にしている人の多くは、個人事業主としてやっていることが多いそうです。
しかし、新潟県の古町芸妓は株式会社としてやっています。そのため、留袖さんや振袖さんのこともまとめて社員柳都さんと呼ぶそうです。というのも、柳都振興株式会社という会社が運営しているからです。
会社が運営しているからこそ、休みがしっかりあったり、産休を取れたりと、いいことが多いそう。毎年「にいがた古町をどり」開催出来てるのも、会社のおかげ💪
そもそも、新潟は昔「柳都」と呼ばれていたそうです。
「りゅうと」、、どこかで聞いたことある!と思っていましたが、バスのSuicaみたいなものが「りゅーと」だったり、新潟市民芸術文化会館の名前が「りゅーとぴあ」だったりします。しっかり身近な存在だったんですね(笑)
(新潟の人しか分からないやつ。笑)
花街の現代的意義
昔は誰もがやっていた事でしたが、それが時代とともに変わってきました。
だからこそそこに価値が生まれ、特別になものになりました。
「あらゆる日本の伝統文化を包括的に継承する唯一のシステム」
全てにおいて文化資源としての花街となっています。日本において、最後の純和風空間となっていて、貴重な地元文化も垣間見ることができます。
方言、民謡、地元作家の書画、郷土料理などなど、文化遺産(観光資源)としても重要なものです。市民全体で継承していくことが大切ですね。
まちのシンボルとしての芸妓であるべきです。
全国にある主な現役花街は約50箇所ほどあります。有名なのが京都五花街(祇園甲部、祇園東、宮川町、上七軒、先斗町)と、東京六花街(新橋、赤坂、神楽坂、浅草、向島、芳町)です。後は、金沢三茶街も有名ですね。
大都市の花街の多くは戦争の空爆で消失してしまい、空襲を受けていない主な花街は京都、金沢(茶屋街)そして新潟(料亭街)だけです。戦前のまま残っている料亭街は新潟だけなんですね。貴重です✨
柳都カフェという、平日のひとときだけ「和」を感じることができるカフェがあるそうです。こちらも今度行ってみないと🏃♂️
参考文献として、「おもてなし学入門 和宴の文化と知識」がほぼ唯一の文献らしいです。興味が出た方は是非読んでみてください。
おわりに
今回は日本酒にまつわる文化から、日本の伝統に関してを学べました。
日本酒に関してのトッピクはそこまで出てないですが、関連する重要なお話です。
日本文化をしっかり知って、日本という国を改めて勉強する必要が自分にはあるなと思いました。おいしく日本酒を飲むためにも、しっかり勉強していきたいです。
日本酒を学ぼうと思ってこの講義を聴くことにしましたが、気づいたら日本そのものの魅力も勉強できているし、興味もいっぱい湧いてきています。
本当にいい講義ですね。「和」を大切にしていきたいです。
今回で、日本酒学AⅠの講義は最後となります。
来週はテストがあるそうです。頑張ってください💪
今回もお読みいただきありがとうございました😊
日本酒学AⅡの講義で会いましょう🙃
第8回の記事はこちらです!
『日本酒学』第6回 ー新潟大学ー
新潟大学で開講されている『日本酒学』の第6回です。
新潟大学の図書館にはこの様なブースが入り口に常設されています。
県内酒蔵の日本酒が置いてあります🍶
これ見ただけで嬉しい人は多いはず!
第5回の記事はこちらをご覧ください。
今回のテーマは
『日本酒の歴史』
講師の方は、酒類総合研究所の理事長である後藤奈美さんです。
目次
前回も、地域性ということで歴史に関するお話が多かったですが、 今回はしっかりとした歴史のお話です。
古代
日本酒の誕生に関するお話です。
日本酒の発祥や、どの時代からお酒がどの様に作られていたかは、書物を参考にするしかないため、お酒に関する記述があったものを遡っていきます。
みなさん知っての通り、縄文時代になり稲作が始まります。
神話のお話ですが、スサノオノミコトが「八塩折(やしおり)の酒」をヤマタノオロチに飲ませ、酔わせて退治したとの記録があったそうです。
魏志倭人伝を参考にすると、邪馬台国や卑弥呼といったキーワードと一緒に、お酒(どのようなお酒かは不明)を飲んでいたとの記載があるそうです。
古事記の記録に、お酒を「献上」したといった記載があり、また「酔う」といった記載もあり、この頃から飲まれていたことは、はっきり分かります。しかしながら、献上品としてのお酒であることが多く、庶民は飲めるものではありませんでした。
この時飲まれていたお酒は、朝鮮半島から伝わってきたものや、それ以外でも、米と麹から作った甘酒なようなものが多かったそう。イメージとして、今と違ってどろっとしているイメージのお酒です。
大隅国風土記に、口噛み酒に関する記述があります。唾液中の唾液アミラーゼと、野生の微生物で発酵してお酒になるそう。
「君の名は」にも出てきましたよね。すごい初期のお酒ですね。
干し飯が水に濡れてカビが生えたので、酒を造った。
という記述があるそうです。
この時代から、「カビが生える」→「酒を造ろう」という知識が浸透していたということが分かります。普通なら、 「カビが生える」→「捨てよう」ってなりますもんね。
また、このことから口噛み酒とカビ(麹)を使ったお酒が共存していることが分かります。
この時代から朝廷による酒造りが始まっていきます。
万葉集などの歌によくお酒に関する記述も出てきます。
僧坊酒(そうぼうしゅ)という寺院で作られる酒も出てきました。
南都諸白という、麹も掛け米も白米を使う醸造法がよく使われていました。
しかしながらまだ清酒は一部貴族のものです。
中世
鎌倉時代から商業が発展してきます。
酒は米と同等の価値のある商品として流通していきます。
酒の製造と販売ができる、「造り酒屋」という施設ができました。
この時代面白いのが、お酒を禁止したり制限したりとの発想が生まれてことかなと思います。
鎌倉幕府は酒の製造・売買を禁止しましたが、朝廷は酒屋を認めて「壺銭」を徴収しました。今でいう酒税ですね。
室町時代になると酒屋は増え、酒造業が急成長してきました。
僧坊酒の名声はさらに高まります。
元々貴族の飲み物だったので、やはり京都でしか広がっていませんでしたが、この頃になると京都以外にも酒屋は広がっていきます。
幕府は、米価の高騰を抑えるために酒造りを制限しました。制限しないと、庶民が米を食べることができなくなり、飢えてしまうからです。
酒造技術は日々進歩していき、この頃から「段仕込み」や「火入れ」により加熱殺菌が出来るようになりました。清酒の原型がほぼ出来上がりました。
寺院勢力が衰退するとともに、僧坊酒も衰退し、酒造りは各地の造り酒屋へと広がっていきます。
精米技術が未発達だったため、現在の清酒とは少し違ったものだったそう。
この頃からやっと庶民に「片白(掛け米のみが白米)」やにごり酒が残っていきます。
新潟県内最古の造り酒屋はこの頃(1550年頃)創業しました。
近世
今回近世としているのは、江戸時代から昭和時代までです。
江戸時代
各地で名醸地が発達していきます。
設備としてもだんだんと大きく整備されていきます。
この頃は、米年貢が幕府の財源であったため、豊作だと米価が下がり、幕府にとってはあまりよくありませんでした。
そこで、豊作だと酒造りを推奨し、豊作でないときは飢饉にならないために酒造りを抑えるといった、少々ずるい方法で米価を安定させていました。
1837年に山邑太左衛門が宮水を発見します。
酒質が良くなり、水と港に恵まれた灘が酒造りの中心になっていきます。
ここで面白い内容が!
関西(上方)から江戸への酒の輸送(下り物)が行われる様になり、ダメなお酒は送られません。ここから生まれた言葉が、「下らない酒」、「下らない話」。
「くだらない」ってここからうまれたんですね。
江戸時代はさすがに農業の生産性が上がり、武家社会を中心に飲酒が広がってきます。
とはいえ、飲酒はやっぱり特別なものだったそう。
町民は屋台で寿司や蕎麦を食べることはあってもお酒は飲まなかったようです。
この頃から幕府による酒造の統制が行われました。
- 1657年 酒株(酒造株)制度 免許制、酒税
- 1697年 酒株改め(売り上げの5割運上金)
- 1783年〜 天明の飢餓(三分の一造り令)
- 1802年 水害で米価高騰(十分の一役米)
- 1806年 豊作(勝手造り令)
- 1825年 酒造株なしの酒造り禁止
明治時代
1875年に酒株が廃止され、30000場が設立されます。そして酒税の強化が行われます。この当時、国税の3割が酒税でした。
また、醸造技術が科学的に解明されてきて、近代化されてきました。
日清戦争や日露戦争を経て、再現性のある技術をしっかりと作ろうと、酒類総合研究所の前身である国立醸造試験場が設立されます。
後期になり、銘柄のごまかしがなくなり、特別なときにだけとことん飲むようになります。(晩酌として楽しむ)
量り売りも、第二次世界大戦まで続きます。
大正・昭和時代(戦前)
アルコール蒸留技術が向上され、合成清酒が誕生します。
当然精米の技術や酒造技術は高くなってきます。
戦争が続き、米が足りなくなると共に、清酒も減ります。
そこで薄めて売っていました。これは「金魚酒」と呼ばれていました。金魚が泳げてしまうほど薄いという悪口が由来です。
そんなこともあり、1940年にアルコールの濃度の規格が誕生します。
同年、満州国で醪へのアルコール添加試験が行われ、1943年に国内でもアルコール添加が開始されます。
終戦が近づくにつれ、酒類も配給制になります。それに伴い、闇市も増えます。
現代
今回現代としているのは、戦後から平成にかけてです。
戦後、密造酒が横行します。
増醸法(三倍増造)が開始され、だんだんとお酒をしっかり作れる余裕も持て、酒類の配給制が廃止されました。
1950年になると朝鮮戦争による特殊景気によって、密造酒から脱却をすることが出来るようになりました。
造る量と販売力にギャップがあり、未納税取引が増えてきます。
大手清酒メーカーも機械化、ブランド化が進んでいき、地方は特定名称酒を用いた高品質化に進んでいきます。
仕事の変化に伴い日本酒の味が変わってくるのと同じように、飲酒にも変化が起きます。ビールやワイン焼酎などの消費が増えてきます。清酒の消費量は減り、低迷してきます。
また、飲酒が日常化となり、「ありがたみ」がなくなります。
さいごに
清酒の歴史を見てきましたが、今当たり前に飲んでいる日本酒の歴史をしっかりと見ることができ、良かったです。
今回は書ききれなかったものもあるので、是非ご自身でも調べてみると面白いと思います。
昔は日本酒の消費量が本当に多かったんですね。私はビールばっかり飲んでいるので、あまり想像がついていませんでした。
今後、清酒の多様化、輸出等の方面から、日本酒復興の道が切り開いていくことを楽しみにしています。
今回もお読みいただきありがとうございました。
第7回の記事はこちらです!