『日本酒学』第3回 ー新潟大学ー
新潟大学で開講されている『日本酒学』の第3回です。
第2回の記事はこちらをご覧ください。
この記事で、ありのままを書きすぎたところ著作権の公衆送信権に関して少し怒られまして、、(苦笑
僕の中で噛み砕いた内容を書いていきたいと思います!(噛み砕くもなにもない気もしますが、、)
今回のテーマは
『日本酒と税金』
目次
国税庁に関して
日本酒と税は深く関連していて、今回はそのお話です。
まず、そもそもの国税庁という組織に関してのお話がありました。
任務と使命
こちらのページにも書いてありますが、適切で公平な税の徴収を実現するための組織です。
税収構造の推移
税収の構成に関するお話がありました。
グラフは載せていないのですが、明治30年に1億円だった税収は、平成30年には638,003億円になっています。
また、税収における酒税の割合が面白く、明治30年に30.8%だった割合は、平成30年に2.1%になっています。少なくなってはいますが、収入は多くなっています。(当たり前ですが、、笑)
昔は酒税が本当に大きい意味を成していたんですね。酒税が国を支えていたんですね。
平成30年の酒税は13,110億円で、内訳はビールが最も多く、清酒(日本酒)は602億円です。
酒税は景気の影響を受けにくいため、国にとっても安定収入になります。
酒税の歴史に関してのお話もありました。室町時代に足利義満が壺単位で税を取っていたことが発端だそうです。
江戸時代から免許がないと作れないようになり、酒造株制度として税を取っていたようです。
明治時代から近代的な税が誕生し、醸造税がうまれました。
密造酒の取り締まりに関するお話として宮沢賢治も小説を書いています。
酒税の課税数量の推移としては、清酒は、平成元年に1,353億円(全体の15.4%)だったものが、平成29年には525億円(全体の6%)となっています。
平成に入ってからは酒税自体の収入額は徐々に減ってきていますが、清酒に関しては特に下がってきちゃっています。免許の数も2494場だったものが1755場と、700〜800場も減っています。
日本産の酒類は年々輸出額は増加していて、清酒の輸出も8年連続上がってきています。
輸出先ランキングは
- アメリカ
- 香港
- 中国
となっています。
全国の1割が新潟からの輸出で、新潟県内の7割の酒造が輸出をしています。
酒税の概要
そもそもなぜ酒から税金を取るかの根拠
- 生活のための必需品ではないから
- 医療費や、世間に迷惑をかけないため
- 消費量が多く、収入に関係ないから
- 景気の影響を受けにくいから
酒税の特色
- 製造・販売業に関する免許制度
- 酒の種類によって税率が違う
- 罰則規定が厳格(けっこう厳しい)
免許制度を取っているのは、お酒は高い税金をかけているため、税への転嫁を容易にする目的があります。また、検査をしっかりするためでもあります。
高いお酒買える人は高い収入だろって感じで税金も決まっているそうです。(噛み砕きすぎたかも。笑)
酒類の定義・分類
定義
- アルコール分1度以上の飲料
粉末状で水を加えるとアルコールになるものも含まれるそうです。摂氏15度において測るそうです。
分類
- 発泡性酒類:1、ビール、2、発泡酒
- 醸造酒類:3、清酒、4、果実酒、5、その他の醸造酒
- 蒸留酒類:6、連続式蒸留焼酎、7、単式蒸留焼酎、8、ウイスキー、9、ブランデー、10、原料用アルコール、11、スピリッツ
- 混成酒類:12、合成清酒、13、みりん、14、甘味果実酒、15リキュール、16粉末酒、17、雑酒
品目においてグレーゾーンというものは全くなく、非常に厳格です。各品目における、原料、製造方法に関する概要も決まっています。
清酒の定義
前回と同じお話ですね。
原料と製法によって厳格に決まっています。
昔あった三増酒っていうもの(僕は知らない)はもうなくなっているそうです。
製造免許に関して
- 人的要件 過去に犯罪歴や税金の未納がないかどうか。
- 場所的要件 検査取り締まり上、製造場と販売場が合わさっていないかどうかなどの要件。
- 経営基礎要件 その会社が潰れないかどうか。
- 需要調整要件 需要が少ないと許可が出にくい。
- 技術・設備要件 設備がしっかりしているか。酒造り経験をしっかりしてきたかどうか。
需要によっても許可が出にくいっていうのはなかなか面白い要件だなと思いました。
とりあえず申請で許可が出るものではないというのは分かりました。
酒の種類のよっても税率は変わります。
ビール本当に高いんですね(笑)。あまり実感していませんでした。(販売額の約4割ぐらい税金)清酒は2割ぐらいですね。
税収の未来はこんな感じだそうです。(税収改正)
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2017/explanation/pdf/p0919-0950.pdf
ラベルに関する表示
- 特定名称(吟醸、純米、本醸造等)
- 品目(清酒or日本酒)
- 原料米の品種
- 製造者の名称及び製造場所在地
- アルコール分
- 原材料名(水は書かない)
- 精米歩合(特定名称酒の場合のみ)
- 内容量
- 製造時期
- 未成年者飲酒防止の注意
こんな感じでラベル表示も決まっています。裏ラベルも面白いそうなので見てみるといいですね。飲みやすさ等の評価が書いてあります。
そこで出てくるのが日本酒度という概念。清酒の比重を示していて、甘口辛口を決めています。
こちらを参考に。
最後に「お酒の地理的表示(GI)」に関してのお話がありました。
お酒のブランドを決める表示です。新潟はまだないので、こういうところをきっちりしておくのもいいのではないかと思いました。
さいごに
税が関係してくるため、お酒は全てが厳格に決まっているんだなと感じました。
昔の日本を支えていたのは酒っていうところがあまり実感ないですが、日本酒と税は切っても話せないんですね。
第4回の記事はこちらです。