努力なくして力なし

株式会社Ripariaの代表です。新潟在住の大学院生です。都会と地方をつなぐ会社を作っています。セキュリティやIT企業でのインターンに関する記事が多いです。

『日本酒学』第4回 ー新潟大学ー

新潟大学で開講されている『日本酒学』第4回です。

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第3回の記事はこちらをご覧ください。

balius-1064.hatenablog.com

 

今回のテーマは

『日本酒とは② 〜製造方法の基礎〜』

 

講師の方は、新潟大学農学部城斗志夫さんと、新潟県醸造試験場の場長である金桶光起さんです。

 

目次

 

まず初めに城さんから導入のお話がありました。 

微生物について

食品の加工に使用される微生物として、乳酸菌やビフィズス菌、青カビ、白カビ、納豆菌などがあります。 

日本酒では、酵母麹菌が使われています。

 

酵母とは?

出芽あるいは分裂により増殖し、生活環の大部分を単細胞で過ごす真菌類の総称

アルコール発酵能が高いという特徴を持つものもいます。餌としてグルコースのような糖質を必要とし、酸素を少なくするとアルコール発酵を起こします。

エネルギーを作っているのですが、その副産物としてエタノールが出てきます。

 

麹菌とは?

特徴として、自らが増えていくためにデンプンやタンパク質などを分解する酵素を多量に作る力が強いです。

日本の伝統的発酵食品の製造によく利用され、「国菌」として認定されています。

麹菌の中には、アフラトキシンのような毒素を出す有害なものもいます。

 

ビール発酵やワイン発酵は1種類の微生物のみを利用します。

なぜ日本酒は2種類の微生物を必要とするのでしょうか?

また、日本酒の製造において、麹菌はどんな役割を果たしているのでしょうか。

そんなお話を解明していきましょう!

ということで、ここから金桶さんバトンパスです。

 

醸造試験場について

日本で唯一清酒専門の研究機関です。

新潟県の日本酒の品質向上のために大正13年に設立されました。設立89周年。古いですね。

当時、県に設備を建てるだけのお金がなく、酒造組合が設備整備をし、新潟県に寄付したそうです。

当時は酒造りのエリートが集まってきて、日本全国の半分以上の蔵が、新潟から巣立った人が作っていたそうです。新潟ってすごいですね。

特徴として、試験場なのですが、酒蔵と同じように清酒を作って売ることができる本免許を持っています。

本免許持っている試験場は「広島」と「新潟」だけだそうです。広島行ったことがないので行ってみたいです。

やっていること

  • 酒米の開発
  • 新技術(新潟の気候風土にあった酒造り技術)の開発
  • 人材教育

新潟の清酒約7割ぐらいはここで誕生した越淡麗という酒米を使っています。

お酒そのものの開発もそうですが、酒を醸すステンレスやチタンの研究までも行っています。お酒周りの研究を色々しているんですね。

日本酒は機械で製造されるようになってきていますが、機械で測れないような香りや味を人間は感じ取れるため、人材教育も継続してやっています。味や香り周り、機械だとやっぱりまだ完全再現無理だなってのはなんだか分かります。

また、海外でしっかりとした品質のものをちゃんと売るために、産地判別技術の開発も行なっています。

 

酒の分類・清酒の定義

これは毎回聞いていたので、もうなんとなく染み込んできました。笑

www.japansake.or.jp

いつもの内容でしたが、こちらがなかなか分かりやすかったです。

色々と細かく決まっているため、逆に自由度がないそう。

 

今回も、前回と同じようなキーとなる言葉が出てきました。もう大体マスターしてきましたね。笑

 

  • 酒の定義
  • 酒の分類
  • 清酒の定義
  • 日本酒の種類(特定名称種)
  • 精米歩合

 

みなさんは説明できるようになりましたか?笑

時間があればしっかりまとめたの書こうと思います。

 

分からないものがあったら、詳しくは、第2回・第3回の記事に書いてあります。

balius-1064.hatenablog.com

balius-1064.hatenablog.com

 

今回新しく面白いなと思ったのは「醸造アルコール」と「吟醸づくり」です。

 

醸造アルコール

でんぷん物質や含糖質物を原料として発酵させて蒸留したアルコール

吟醸酒本醸造酒に使用できる醸造アルコール重量は、白米の重量の10%以下です。

戦時中にお酒を2倍、3倍と薄めていたことがこの技術の進歩に繋がっているそうです。

現在は、技術が高くなっているからこそ、増量のために添加しているわけではなく、むしろ香りや味が良くなるため、添加しているそうです。

醸造アルコール」と聞くと、なんだかアルコール度数を高めるためだけにただアルコールを追加しているのかな?と思っていましたが、全然違く、むしろ逆でしたね(笑)

 

吟醸づくり

吟味して醸造すること

 なんだか定義が曖昧ですね(笑)

伝統的に、より良く精米した白米を低温でゆっくり発酵させ、粕の割合を高くして、特有の芳香(吟醸香)を有するように醸造すること

とありますが、簡単にいうと手間暇かけて作ったってことですね。多分(笑)

 

清酒の製造工程 

「一麹、二もと、三造り」

日本酒造りにおける重要な工程を表した言葉です。

歴史としては室町時代に基礎が作られ、徳川時代にはほぼ完成していました。

その後、明治時代に西洋科学の成果を取り入れて改良し、第二次世界大戦に生化学、微生物学、化学工業の進歩で飛躍的に発展しました。

 

それでは細かく見ていきましょう!

 

第一工程[蒸米製造工程]

この工程では、「玄米」から「蒸米」を作ります。

 

まず、「玄米」精米「白米」を作ります。

摩擦熱で米の水分が抜かれると米が割れてしまいます。そのため、割れないようにゆっくりやります。

ここの良し悪しで味が変わってきます。

 

洗米が第二の精米工程です。この時米は手で潰せるぐらい、脆くなっています。

その後浸漬をします。この工程は、名前の通りお米に水を吸わせます。1%とか、0.5%単位でやるそうです。吸水率がここで決まります。

大吟醸は35%程の吸収率にするそうです。(この工程に3日ぐらいかかります)

吸収率は今後の工程に大きく影響してきます。

 

一晩水切をし、翌朝それを蒸します。最後に温度を調整すると「蒸米」の完成です。

 

精米歩合を低くすると、タンパク質や脂質が減ってくるため、お酒の味が一般的に良くなると言われています。

米が脆いため、機械でやると粉になって流れてしまうため、手作業でやります。

 

第二工程[麹製造工程]

この工程では、「蒸米」から「麹」を作ります。

 

簡単に言うと、食べられるようにカビさせる工程です。

麹室と呼ばれる温度湿度を管理できる部屋に入れて、蒸米に麹種を入れカビさせます。この工程には40〜50時間かかります。

 

種麹を売るような会社も昔はあったそうです。

 

出来上がった麹を麹室から出して冷却して乾燥させることを出麹といいます。最高品質は42度付近で、12時間程度経過したのちに出麹します。このタイミングも蔵によって違うそうです。

αアミラーゼグルコアミラーゼがないとブドウ糖ができないため、アルコール発酵ができません。だからこそ、この2つをすごく大切にしていたそうです。

この工程が終わると、日本酒特有の風味が形成されます。

 

麹の種類

麹にも種類があります。 

  • 黄麹 ー 清酒、醤油、味噌
  • 黒麹 ー 焼酎、泡盛
  • 紅麹 ー 赤い酒
  • 白麹 ー 黒麹の変異株。焼酎

 

第三工程[酒母製造工程] 

この工程は、酵母の培養工程です。

 

麹 + 水 + 純粋酵母醸造用乳酸 からなる水麹を仕込んで育成し、酒母を作ります。

 

酵母の役割

酒母

醪を醗酵させるための酵母を培養したもの

酵母(酛ともいう)

糖を醗酵してアルコールを作る

清酒製造は開放醗酵のため、醪の健全性、優良な品質を保つためには酵母の役割が非常に重要になってきます。

 

この工程で、phを下げて(雑菌の繁殖を防ぐ)「麹」からαアミラーゼとかを水の中に出していきます。育成には、14日間ほどかかり、酵母を何億という数に増やしていきます。

 

清酒醸造に使用される酵母にはたくさん種類があり、現在使われている有名な酵母は、各々の蔵が発祥となり、自然に作り出した酵母を集めて、増殖させて、全国に配り始めたものが使われています。 

清酒の香りと酵母

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第四工程[もろみ製造工程]

この工程では、4日間かけて「もろみ」を作ります。

 

もろみは三段仕込みになっています。

今まで作ってきた 水 + 麹 + 酒母 + 蒸米 を段々と仕込んでいき、「熟成もろみ」を作ります。

  • 初添(1日目)全体の1/6を仕込みます
  • (2日目)休み
  • 仲添(3日目)全体の2/6を仕込みます
  • 留添(4日目)残りの3/6を仕込みます

1度に仕込むとダメなんです。

 

そして最後にもろみ管理をしながら醸造アルコールを醗酵させているところに入れると、「熟成もろみ」が完成します。

 

なぜ清酒酵母は他の酵母よりエタノール生成能が高い?

清酒酵母エタノールなどのストレスに強いのではないのかと仮定されましたが、実際には実験室酵母より弱いそうです。

もろみ仮定を続けていくと、実験室酵母は防衛本能で、途中からアルコールを出さなくなります。しかし、清酒酵母は限界まで出し続けるため、エタノール生成能が高いです。 

 

第五工程[市販酒製造工程]

この工程では、市販されるお酒を作ります。

 

この図のような工程です。 

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上槽でしぼり、おり引きで沈殿させ、それをろ過することで「新酒」が出来上がります。

新酒を、65℃〜70℃程で火入れを行い「原酒」が出来上がります。

原酒は20℃ぐらいで、飲んでみるとピリピリするそうです。

原酒を、白い沈殿を出さないようにおり下げを行い、様々な工程を得て「市販種」が出来上がります。

 

また、「生酒」好きだなーって思っていたのですが、違いを理解していませんでした。

この図でスーパーとかで市販されている普通の日本酒と他の色々な呼ばれ方をしている日本酒の違いが分かります。

生酒は消費期限近いですがマジでうまいんですよね。。😋

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新潟の酒米

新潟の酒米についてです。

五百万石

1982年に「菊水」「新200号」の交配で完成しました。

味としては、水のような淡麗辛口になるような酒米でした。

越淡麗

新潟だけのお米で大吟醸を作りたいという思いから、1989年に山田錦「五百万石」を交配させ、完成しました。

特徴として、高精白にしても割れにくく、高度な吸水性があるため良い蒸米に仕上げることができます。

 

そもそも、私たちが食べているお米と酒米の違いについてです。

酒米になるお米は酒造好適米と呼ばれ、

  • 粒が大きい
  • 心白がある

この2つが特徴です。

 

さいごに

今回は一番面白い、「作り方」をしっかりと知ることができました。

今も昔も、作り方は変わらないんですね。酒造見学尚更行きたくなってきました。

だんだんと日本酒に関して詳しくなれている気がします。

 

今回も読んでいただきありがとうございます!

次回もお楽しみに!

 

第5回の記事はこちらです。

balius-1064.hatenablog.com