『日本酒学』第7回 ー新潟大学ー
新潟大学で開講されている『日本酒学』の第7回です。
第6回の記事はこちらをご覧ください。
今回のテーマは
『日本酒と料亭・花街の文化』
講師の方は、新潟大学工学部建築学科の教授である岡崎篤行さんです。
目次
日本酒、和食、料亭
料亭は、日本酒にとってとても大切な存在です。
みなさんご存知の通り、お座敷という、料亭に芸者を呼ぶ文化があります。
そもそもなぜ料亭が日本酒にとって大切なのでしょうか?
ワインといえばフレンチレストランで飲むのが一番正式な場所であるように、日本酒を飲むのに、一番正式な場所が料亭なのです。
今の時代だからこそ居酒屋や飲食店で普通に飲むようになっていますが、感覚的にはなんとなく分かると思います。
料亭で会席料理を食べながら日本酒を飲むのが正式な飲み方なんです。
この後のお話で、料亭、花街、日本酒が繋がってきます。
- 料亭 = 芸者さんを呼ぶ場所
- 料亭 = 日本酒を飲む場所
この概念しっかり持っておくべきですね。
料亭
そもそも正式に飲むとはなんでしょう?
料亭では、テーブルは漆塗りであるところが多いため、お皿は引っ張っちゃダメで持ち上げるものでした。
杯洗という、水が入っている四角い箱の様なものであったり、袴というとっくりの入れ物もありました。これも、テーブルが高価なものだったので、なるべく直接置かないためにこういったものを用意していました。
ここらへんは 料亭での、日本食を食べる際のマナーの知識が必要となってくると思います。
しかしながら、こういった料亭マナーに関する物でさえ、お客さん側が使い方を知らないため、最近では料亭ですら出てきません。
日本人は洋食のテーブルマナーは学びますが、日本食のテーブルマナーの方は全然学びません。
むしろこっちをしっかり学んだ方がいいですよね。日本の伝統としても大切なことだと思います。
和食
和食とは、日本人の伝統的な食文化のことで、2013年にユネスコ無形文化遺産に登録されました。
- 多様で新鮮な食材
- 栄養バランス
- 自然や季節の表現
- 年中行事との関わり
この様な要素が入っています。
会席料理
料亭で食べる料理のことで、本膳料理に次ぐ、正当な日本料理の形式です。
一汁三菜(お吸い物・刺身・焼き物・煮物)を基本としていて、お通し(八寸)、揚げ物、蒸し物、和え物、酢の物などの酒肴が加わります。(コース料理)
最後は飯、味噌汁、香の物、水菓子(果物)などが出てくることが多いです。
私たちの生活で、毎日3食しっかり和食を食べている人はほとんどいないのではないでしょうか。いかに私たち日本人が日本文化を分からなくなってしまっているのかを自覚しないといけないですね。
そもそも、和食が文化財になっているということは、当たり前じゃなくなってしまった証拠でもあります。
日本人も日本文化を学ばないといけないですね。滅ぼそうとは思ってないけど、自然と滅んでいってしまっているのが現状なので、努力して残していかないといけないです。
今、日本文化をしっかりと残すことができるのは、芸者さんだけだそうです。
料亭
主に日本料理を出す高級飲食店、料理屋のことで、宴会、企業の接待、慶事、法事等に使われることが多いです。大広間と個室があり、日本庭園があったりするのが特徴です。
新潟だと、古町に「鍋茶屋」という料亭があるそうです。今度行ってみたいですね。やはり値段が高いイメージを持ってしまっていますが。
みなさん行ったことありますか?地方だと結構行く文化や風潮が残っていることが多いそうです。
料亭は、芸妓を呼べる場所でもあり、昔は多様な機能を持っていて、他にこういった場所がなかったため、色々なものが料亭に集まっていました。
例えば、現代のレストラン、ホテル(宴会場)、結婚式場、会議室、教室、カラオケ、スナックとかです。
花街・芸妓とは何か
花街
「かがい」と読みます。(私は「まなまち」って呼んでいたので一応書いておきます。笑)
昔の広義の意味では、遊郭、遊女屋、芸者屋が集まっている地域といった意味ですが、最近では芸者を呼べる料亭や茶屋が集まる都市の一画という意味で使われることが多いです。
温泉街は花街とは言わないそうです。
料亭と茶屋
花街は、「茶屋街」もしくは「料亭街」を指しています。
料亭とは、板前を抱え、自前の料理を提供しているお店のことで、茶屋は板前を持たず料理は仕出しをし、通常大広間はなく個室のみの場合が多いです。
料亭は現在でも全国にありますが、茶屋は、金沢や京都などのみに残っています。
芸妓とは何か
職能としては、「おもてなし」と「芸能」です。
◯◯芸とは、舞踊や唄、和楽器、茶道、俳句などのことを指しています。
特に日本舞踊が根幹で、年に1度、芸者衆総出演の日本舞踊公演をやっていることが多いです。これを、「◯◯をどり」と言います。全国的にやっているところは多いですが、毎年しっかり開催できているのは福岡と新潟と金沢だけだそうです。
新潟には、「ふるまち新潟をどり」があり、今年も9月8日に行われます。私も行ってみようかな。
ここで、芸妓(げいぎ)の呼称に関して書いておきます。
「芸妓」とは芸者のことで、「舞妓」とは出たての若い芸妓のことで、賃金が半分ぐらいだったことからも、半玉とも呼ばれていたそうです。
- 地方(じかた)
伴奏(唄、三味線)をする人のこと
- 立方(たちかた)
踊り手
日本で芸妓を生業にしている人の多くは、個人事業主としてやっていることが多いそうです。
しかし、新潟県の古町芸妓は株式会社としてやっています。そのため、留袖さんや振袖さんのこともまとめて社員柳都さんと呼ぶそうです。というのも、柳都振興株式会社という会社が運営しているからです。
会社が運営しているからこそ、休みがしっかりあったり、産休を取れたりと、いいことが多いそう。毎年「にいがた古町をどり」開催出来てるのも、会社のおかげ💪
そもそも、新潟は昔「柳都」と呼ばれていたそうです。
「りゅうと」、、どこかで聞いたことある!と思っていましたが、バスのSuicaみたいなものが「りゅーと」だったり、新潟市民芸術文化会館の名前が「りゅーとぴあ」だったりします。しっかり身近な存在だったんですね(笑)
(新潟の人しか分からないやつ。笑)
花街の現代的意義
昔は誰もがやっていた事でしたが、それが時代とともに変わってきました。
だからこそそこに価値が生まれ、特別になものになりました。
「あらゆる日本の伝統文化を包括的に継承する唯一のシステム」
全てにおいて文化資源としての花街となっています。日本において、最後の純和風空間となっていて、貴重な地元文化も垣間見ることができます。
方言、民謡、地元作家の書画、郷土料理などなど、文化遺産(観光資源)としても重要なものです。市民全体で継承していくことが大切ですね。
まちのシンボルとしての芸妓であるべきです。
全国にある主な現役花街は約50箇所ほどあります。有名なのが京都五花街(祇園甲部、祇園東、宮川町、上七軒、先斗町)と、東京六花街(新橋、赤坂、神楽坂、浅草、向島、芳町)です。後は、金沢三茶街も有名ですね。
大都市の花街の多くは戦争の空爆で消失してしまい、空襲を受けていない主な花街は京都、金沢(茶屋街)そして新潟(料亭街)だけです。戦前のまま残っている料亭街は新潟だけなんですね。貴重です✨
柳都カフェという、平日のひとときだけ「和」を感じることができるカフェがあるそうです。こちらも今度行ってみないと🏃♂️
参考文献として、「おもてなし学入門 和宴の文化と知識」がほぼ唯一の文献らしいです。興味が出た方は是非読んでみてください。
おわりに
今回は日本酒にまつわる文化から、日本の伝統に関してを学べました。
日本酒に関してのトッピクはそこまで出てないですが、関連する重要なお話です。
日本文化をしっかり知って、日本という国を改めて勉強する必要が自分にはあるなと思いました。おいしく日本酒を飲むためにも、しっかり勉強していきたいです。
日本酒を学ぼうと思ってこの講義を聴くことにしましたが、気づいたら日本そのものの魅力も勉強できているし、興味もいっぱい湧いてきています。
本当にいい講義ですね。「和」を大切にしていきたいです。
今回で、日本酒学AⅠの講義は最後となります。
来週はテストがあるそうです。頑張ってください💪
今回もお読みいただきありがとうございました😊
日本酒学AⅡの講義で会いましょう🙃
第8回の記事はこちらです!